無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

カテゴリ: 社会・文化

介護離職を生み出してしまう負のスパイラル“介護地獄”への対応は喫緊の課題だといわれながら、いつまでも抜本的対策が打てない、真の原因はどこにあるのでしょうか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・
介護離職の「年10万人」はまだ序の口だ

4月22日(日)11時15分 プレジデント社

日本の人口が減りつづけている。出生数は2016年に初めて100万人を下回ったが、2065年には約55万人にまで落ち込むという。将来のためにどんな備えが必要なのか。「20年後の日本」を襲う6つの課題について識者に聞いた。第3回のテーマは「介護難民」だ——。(全6回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年1月1日号)の特集「老後に困るのはどっち?」の掲載記事を再編集したものです。


■特養の入所待機者は2040年までに4倍近くに


団塊世代に次いでボリュームの大きい団塊ジュニア世代が50代になり始める2021年以降、介護離職の問題が深刻さを極める。親が要介護認定を受ける年に差しかかるからだ。


今後、高齢者の中でも高齢化が進み、施設を必要とする人のボリュームが増す。しかし、施設の整備が追いつかず入所できない人があふれてくる。16年には、要介護度3以上の特別養護老人ホームへの入所待機者が12万人を超えた。それが25年には43万人に、40年には47万人になると予測されている。そこで政府は、「施設や病院」から「在宅へ」と、介護政策の方針をシフトさせている。


ところがそこには、在宅で誰が高齢者の面倒をみるのかという視点が欠けている。厚労省は“地域包括ケア”という仕組みを実施した。介護サービス利用者は、00年の149万人から15年の512万人へと急増したが、加えて35年頃になると高齢者が増加するだけではなく、若い人も含め大半が1人暮らしとなり、地域の中に“手助け要員”がいなくなってしまう。自治体のヘルパーも、対応できるのは1日30分ほどだろう。


家族が仕方なく働きながら介護となるが、やがて転職や退職を余儀なくされる介護離職の増加が新たな問題になるだろう。現在でも、毎年10万人が介護のために職場を離れており、仕事をしながら介護する40〜50代男性は69万人もいる。離職すれば収入が不安定になる一方で、在宅介護の費用がのしかかる。企業の中心的年代の離職は会社にとって痛手なだけでなく、国全体の経済停滞を招くような大損失につながってしまう。


この深刻な事態を受け、安倍政権は介護職員の待遇改善、施設整備の前倒し、介護休業制度の改革など「介護離職ゼロ」に取り組んでいる。しかし財源の問題などがあり、思うような成果は上がっていない。


介護職員の慢性的な人材不足も深刻な影を落とす。25年には253万人の需要が見込まれるのに対し、215万人ほどしか確保できない見通しだ。高度な医療を受けても、その後の療養先が足りない。やむなく仕事を離れ、年老いた親を無理して抱える。こうした介護離職を生み出してしまう負のスパイラル“介護地獄”への対応は喫緊の課題だ。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

定年後の3大リスクは「お金」「健康」「孤立」と言われます。最近は定年という言葉に重きを置かない時代になってきているのではないかと思います。働き方が多様化し、仕事と趣味の境界線は曖昧になり、時間的にも空間的にも区別が難しくなるだろうと言われ、各人が生きがいを求めてフラットな社会への移行が進むものと思われますので、早めに自己のアイデンティティを模索してゆくことが必要です。
・・・・・・・・・・・

定年後の「孤立」リスクに備える~新たな自己アイデンティティを求めて

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

まだまだ日本は精神障害者や認知症患者を受け入れる社会ではないのでしょうか。障害者の監禁という問題に日本社会の遅れを感じます。社会がまだ弱者を自分の問題としてとらえることのできない未成熟な国家が現在の日本なのでしょう。我々一人一人が考えねばなりません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
中日新聞社説 2018年4月14日

 到底許される行為ではもちろんないが、家族を一方的に責め立てるだけでは問題の解決にはつながるまい。相次ぐ精神障害者の監禁事件は問うている。社会の偏見が家族を追い込んではいないか。

 近代日本の精神医学の基礎を築いた呉秀三が、私宅の座敷牢(ざしきろう)に閉じ込められた精神障害者の悲惨さを告発したのは一九一八年。病気に加え、国の無為無策という“二重の不幸”に苦しめられていると痛烈に批判した。

 それからちょうど百年。いまだに往時を連想させる事件が表面化する現実に愕然(がくぜん)とさせられる。

 去る一月に兵庫県三田市で、精神疾患のある四十二歳の男性が自宅の檻(おり)の中に閉じ込められているのが見つかり、先週、父親が逮捕された。監禁はおよそ二十五年に及ぶ疑いがあるという。

 昨年十二月には大阪府寝屋川市で、統合失調症と診断されていた三十三歳の女性が自宅の小部屋で衰弱の末に凍死した。両親は監禁と保護責任者遺棄致死の罪に問われている。およそ二十年間閉じ込めていたとの見方がある。

 三田事件の父親は二十年以上前に三田市に相談していた。男性は障害者手帳を持っていた。寝屋川事件の両親は二〇〇一年に女性を受診させていた。それを元に障害年金を受け取ってもいた。

 福祉であれ、医療であれ、接点はあった。にもかかわらず、なぜ途切れてしまったのか。

 精神障害のある人の家族でつくる全国精神保健福祉会連合会の最新の調査では、信頼して相談できる専門家は「いない」との答えがほぼ三分の一に上っている。

 暴れたり、叫んだりする症状に困り果て、近隣とのトラブルも心配する家族は多い。二つの事件の親もそう感じていたらしい。

 手を差し伸べるべき側の待ちの姿勢が、結果として家族の不信と諦めを招いていないか。地域の差別的なまなざしが、家族を孤立させてしまう面もあるだろう。

 気分障害や統合失調症、認知症といった精神疾患のある人は増える傾向にある。すでに四年前に三百九十二万人を上回っている。インターネットに依存したゲーム障害も問題化している。

 患者と家族だけに負担と責任を押し付けるような仕組みでは、座敷牢事件は後を絶たないだろう。

 支え合う社会へ向けて、例えば義務教育段階から病気の正しい知識と対処法を学ぶべきだ。そうしてこそ精神障害者への偏見、差別の解消にもつながるに違いない。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

高齢化が進んでいる地域を「高齢者ホットスポット」と呼ぶようです。東京23区にも人口に占める高齢者の割合が50%を超える限界集落が5カ所あります、その背景にあるのは定住化団地の存在があります。基本的には団地や共同住宅が密集している地域の高齢化率が高いのです。定住化団地の高齢化が進み、若者が敬遠することで更に高齢化が進む悪循環が続いています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ヘルス・ライフ


東京23区内の限界集落…豊洲、「高齢者ホットスポット」化で資産価値減少の懸念も?
構成=長井雄一朗/ライター
Business Journal 2018.04.09

2015年の「国勢調査」によると、日本の高齢化率(65歳以上の人口比率)は26.6%となっている。都道府県別では、高齢化がもっとも進んでいるのは秋田県で33.8%だ。


 一方、東京23区は22.0%で「若く活気にあふれていて、余裕のある地域」といわれている。しかし、東京23区内でも高齢化が進行している地域が存在する。その地域を「高齢者ホットスポット」と呼んで警鐘を鳴らすのが、東京23区研究所の池田利道所長だ。たとえば、東京23区でもっとも高齢化率が高い大田区東糀谷6丁目は60.6%となっている。

 その背景には、何があるのか。池田氏に話を聞いた。

東京23区内にも存在する「限界集落」


――東京23区の「高齢者ホットスポット」について教えてください。

池田利道氏(以下、池田) まず、東京23区の高齢化率上位5地区を紹介します。大田区東糀谷6丁目(60.6%)、北区桐ヶ丘1丁目(58.5%)、世田谷区大蔵3丁目(55.1%)、北区桐ヶ丘2丁目(54.4%)、北区王子本町3丁目(53.1%)です。人口の50%以上を65歳以上の高齢者が占める地域を「限界集落」と呼びますが、これは地方だけでなく東京23区にも存在するということです。

 これらの地区だけが特別なのかといえば、そうではなく、30位の渋谷区神宮前6丁目は41.2%、100位の墨田区京島3丁目でも33.1%です。東京23区全体の高齢化率は22%で、若い地域ではありますが、ホットスポット的に高齢化率の高い地域が存在しているということです。

 東京23区には、3000を超える「町丁」があります。今回の調査では、500人以上が住む町丁(2870カ所あまり)を基に分析しています。

――では、なぜ東京23区でもホットスポット的に高齢化率の高い地域が生まれているのでしょうか。

池田 多くの場合、高齢化率が高い地区には団地が建ち並んでいます。なかには墨田区京島3丁目のように木造住宅の密集地もありますが、基本的には団地や共同住宅が密集している地域の高齢化率が高いのです。ただ、板橋区常盤台2丁目は高級住宅街ですが、高齢化率は33.4%と高く、93位にランクインしています。

 東京というのは流動的な地域です。しかし、居住者の定住化が進展すると、当たり前ですが、その居住者は歳をとっていきます。そのため、「高齢者ホットスポット」のキーワードは「定住」です。

――なぜ、団地建設に伴う定住化が進展したのでしょうか。

池田 まず、団地について説明しましょう。1960年版の「国民生活白書」は、「団地族」の特徴について「大企業や官公庁に勤めるホワイトカラーが多く、所得水準も教育水準も高い。パン食、肉食など食生活の高級化も進んでおり、耐久消費財の保有率も高い」と分析しています。

 当時、こうしたライフスタイルは憧れの的でした。「食寝分離」といって、食事する場所と寝る場所が分離している居住環境が広まりました。団地は商業施設やサービス施設も充実していたため、その周辺に住宅開発が進むという波及効果も生みました。こうした流れで、団地が建ち並ぶ地域が形成されていきました。

街の機能が高齢者向けに特化してしまう


――高齢者の定住化が進む一方で、若者は団地から去っていったような印象があります。

池田 住宅やマンション、団地は約40~50年にわたって維持されます。若い方は40年前の建物に魅力を感じない一方で、高齢者の定住化が進展しました。そして、高齢者の定住化が進むと、街の機能が高齢者向けに特化するようになります。

 たとえば、小児科の代わりに整骨院や整形外科が増えて、子育て世代にとって必要なベビー用品販売店やスーパーマーケットがなくなり、コンビニだけになっていく……高齢者にとって、より利便性の高い街になっていきます。

 小売店や地域医療などの施設やサービスが高齢者にとって便利になる半面、子育て世代にとっては魅力がなくなる。そのため、ますます街の高齢化が進展することになるのです。

――特に団地は、機能を特化させやすい面があるようです。

池田 仮に、ある若い夫婦が都営団地の抽選に申し込んで当たったとしましょう。しかし、いざ街を歩いてみると、あるのは高齢者向けのサービスや施設のみ。それでは、「ここに住もう」という気にならないのも当然です。

 その一方、もし高齢者夫婦が当選すれば「ここに住もう」という気になり、より街が高齢化してしまう。若い世代の流入がないまま居住者が高齢化することで、街全体の活力が失われていってしまいます。

――街は、まるで生き物のようですね。

池田 そう、街はそこに住んでいる人によって変わるのです。また、賃貸、分譲、戸建て、マンションなどのさまざまな形態の住宅が並び、子育て世代、単身者、高齢者などのさまざまな世代の人間が居住することにより、街は機能が複合化し活力が生まれます。

 しかし、街が高齢者向けの機能に特化してしまうと、機能の複合化が止まってさらに高齢化してしまいます。これが、「高齢者ホットスポット」の正体です。

 ちなみに、地方の限界集落も高齢化率は高いのですが、こちらは人口流出の問題が大きく、東京23区の高齢化とは意味合いが違います。この問題については、著書『23区格差』(中央公論新社)で触れています。

武蔵小杉、豊洲も“高齢化”する?


――高齢者にとって住みやすい環境が整うことで、さらに定住化が進みますね。

池田 そうした街は、高齢者にとって幸せな街であることは間違いありません。そのため、高齢者の定住化が進むわけです。

 東京23区の高齢化率が高い上位100地区のうち、団地型の町丁74カ所の平均定住率は23区平均(22%)の2倍以上となる47%にのぼっており、団地も大きな福祉施設などもない22カ所の町丁も同47%です。高齢化に悩んでいる街は、つまりは定住化が進んでいる街なのです。

 今も、行政はさかんに定住化を促しています。しかし、定住に価値があったのは、高度成長期で若者が次々と移動し街も活性化することができた時代です。少子高齢化が進む現在、高齢者の定住がどのような意味を持つのかを、行政は再考すべきです。

――30~40代のビジネスパーソンに向けて、何かアドバイスはありますか。

池田 家やマンションを購入するのは、30代前半~40代中盤の世代がもっとも多いです。なかには60代で購入するケースもありますが、これは「子どものため」という目的が多いでしょう。

 今、飛ぶ鳥を落とす勢いのある地区は、神奈川県川崎市の武蔵小杉と東京都江東区の豊洲でしょう。いずれも巨大なタワーマンションが建ち並び、賃貸ではなく分譲で“終の棲家”として購入する方が多いです。武蔵小杉は高齢者向けの施設やサービスはほとんどなく、子育て世代や若者向けの街です。しかし、定住が進むと居住者も老いていきます。そのため、武蔵小杉も豊洲も、あと40年くらいすれば高齢化していくでしょう。

 マンションの場合、建て替えには全世帯の3分の2の同意が必要ですが、これらのタワマンの住民が高齢化した場合、建て替えの同意が得られるかは大きな疑問です。しかし、建て替えられなければ資産価値は減る一方です。そうした街は、デベロッパーとしても新たな投資対象にはなりません。

 これはマスコミにも責任があるのですが、戸建てやマンションの購入に際して、もっとも多い情報は「子育てしやすいか」「通勤しやすいか」などです。しかし、人生が80年くらいだとすれば仕事も65歳ぐらいで終わる人が多いでしょう。子育ても10年もたてば終わります。その後の人生は長いのです。

 マスコミは、70歳や80歳の人向けにも「その家やマンションは快適か」「その地区は住みやすいか」などの情報提供をすべきです。そして、仕事や子育てが終わった後は、新たなライフスタイルに合わせた住宅や居住地域を選択すべきです。
(構成=長井雄一朗/ライター)


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

「キモくて金のないおっさん」とは、中高年で貧困層に陥って肥っていて、でも生活保護は受けていないような非正規の男性を指すようです。男性だけではないと思うのですが、激増する非正規労働者が「『階級以下』の存在、つまり『アンダークラス』」という新たな階層になっていることにジャーナリストの佐々木俊尚氏が警告を発しています。早稲田大学教授の橋本健二氏が著書『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)で、非正規雇用が新たな階層になってきていることを指摘されています。是非読んでみたいと思います。
・・・・・・・・・・・・・・

「キモくて金のないおっさん」を救うために、本当の正義の話をしよう

佐々木 俊尚
文春オンライン2018.04.09

弱者として認定されない人たち

 LGBTや女性や障害者や少数民族は弱者として認定されることが多いけれども、弱者に認定してもらえない人たちもいる。典型的なのは、中高年で貧困層に陥って肥っていて、でも生活保護は受けていないような非正規の男性だ。これはネットの中では「キモくて金のないおっさん」問題と呼ばれていたりする。

 他にもある。福島第一原発事故で、郡山市や福島市、さらには関東地方など避難区域に入っていない土地から怖くて逃げた自主避難者は、弱者として認定された。じゃあ、地元に残って生活している郡山や福島の人たちは弱者じゃないのだろうか? 本当はどちらの人たちも、包摂されなければいけないんじゃないだろうか?

 いったい選別する権利を握っているのは誰なのか? 選別の正しさは、どこで担保されているんだろうか?

キモくて金のないおっさん問題は、見えにくいけれどもとても深刻で大きくなっている。早稲田大学教授の橋本健二さんは著書『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)で、非正規雇用が新たな階層になってきていることを指摘している。

同書は現代日本をさまざまな面から分析し、激増する非正規労働者が「『階級以下』の存在、つまり『アンダークラス』」という新たな階層になっていることを解き明かしている。


 同じ労働者でも、正規労働者と非正規であるアンダークラスの間の「異質性」は大きくなっている。収入は2倍も離れ、貧困率はなんと5倍もの差がある。健康状態、ストレス、人間関係、不安など何もかもが両者のあいだではかけ離れている。

「それは、文字通りか、あるいはそれなりにかの違いはあっても、安定した生活を送り、さほど強い不安もなく、満足や幸せを感じながら生きることのできる人々と、これができない人々の違いである」(『新・日本の階級社会』)

「いまや資本家階級から正規労働者までが、お互いの利害の対立と格差は保ちながらも、一体となってアンダークラスの上に立ち、アンダークラスを支配・抑圧しているといえないだろうか。これは、いわば四対一の階級構造である」(『新・日本の階級社会』)

 このひどい状況を終わらせるためにこそ、いま新しい正義が求められているのだ。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ