無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

カテゴリ: 社会・文化

<前回に続く>

2015年の日本の高齢者人口は約3400万人であるが、世界の高齢者人口は6億人、うちアジアだけで3.2億人である。さらに、例えば2030年では、日本の高齢者人口は約3700万人であるものの、世界の高齢者人口は9.7億人、2050年には14億人に達する見通しである5。

「人口=市場」と捉えれば、このように未来の世界にはとてつもなく大きな高齢者市場が待ち構えているのである。何でもグローバルに展開すればよいということを主張するつもりはないが、日本は「高齢化最先進国」であり、国内の高齢者市場において成功できたイノベーションの事例(モノ・サービス)は、そのまま世界で通用する可能性が高い。実際、高齢者住宅や介護サービス等、日本のモデルを世界で展開する事例は数多く見られてきている。

<世界人口及び高齢者人口の推移と推計(1950~2100年)>/<参考>世界の地域及び国の高齢化率の推移と推計(1950~2100年)
6月世界高齢者推移
6月高齢化率の推移2

以上のことを踏まえれば、日本の人口減少という事象を必要以上に悲観視する必要はないであろう。

重要なことは、如何にイノベーションを生み出せるか、とりわけ高齢者市場においてどのようなイノベーションを創出できるかに尽きる。

その視点は様々考えられるが、重要で期待されるイノベーションは、「豊かな長寿を支援し創造する商品サービス」の開発と考えている。言い換えれば、高齢期の「安心」と「生きがい」を提供するサービス等だ。

既存の事例で挙げれば、介護ロボット、超小型電気自動車(高齢者の移動サポート)、サービス付高齢者向け住宅、ユニバーサル食品、生活支援・見守りサービス等は「安心」に貢献するものであろうし、旅行や高齢者向けスポーツ、高齢者の参加と交流を促すサービス等は「生きがい」に貢献することであろう。

いくつかの事例は確認できるが、高齢者の不安とニーズに応える商品サービスの開発視点はまだまだ数多くある。高齢期の将来不安を「希望」に変えるような商品サービスが待たれている。筆者も微力ながら、そのようなイノベーションの具体策づくりに貢献していきたい。

人口減少未来における成長視点-世界の高齢者市場を射程に入れたイノベーション- - 前田 展弘
ニッセイ基礎研究所2015年06月09日

ニッセイ基礎研究所の前田展弘氏が人口減少未来における成長戦略について報告しています。世界的な規模で高齢者市場が拡大しており、日本の高齢者住宅等のノウハウは今後の世界市場のおいて大変な成長可能性にあふれているというものです。大いに参考になります。
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日本の人口は2008年(1億2808万人)をピークに減少局面に入った。市場を支える産業界(企業)の立場からこの局面を展望すると、「人口減少=市場及び経済の縮小」とネガティブに捉えられやすい。実際、日本の未来を悲観視する産業界の人は少なくない。しかしながら、次の2つの事実を捉えたときに、将来に対する見方はポジティブに変わっていく可能性がある。

■人口と経済成長の間には直接的な関係はない
このことはマクロ経済学の権威である吉川洋氏1が、人口とGDPの長期的推移を観察し、実証的に明らかにしたことである2。経済成長は「人口の成長率」と「技術進歩率」の和(=自然成長率)によることが従来的な考え方3ではあるが、理論上では確かにそうであるものの、1870~1994年までのデータを分析すると、国内の人口と経済成長には関係性がないことがわかったのである。

実際、日本が経験した高度経済成長期(1955~70年)も、GDPは10%前後の高い成長率を示したが、人口の成長率は1%前後で安定していたのである。つまり、日本の高度経済成長を支えた主要因は、「三種の神器」4をはじめとした多くの“イノベーション”(≒技術進歩)だったのである。持続的な経済成長を生み出す究極的な要因は、“モノやサービスの創造(プロダクト・イノベーション)”であることを吉川氏は強調している。

■世界は高齢化と人口爆発、高齢者市場はとてつもない規模の市場へ拡大す
確かに経済成長においてイノベーションこそが重要であり、主要因であることは違いないであろう。しかしながら、世界を視野に入れたマーケットの人口、つまり「ボーダレスな市場」が拡大すれば、経済成長の期待値が高まることも事実と考える。そうしたときに世界各国で日本と同様に進む「人口の高齢化」は注目される。

前述のとおり人口減少局面にある日本も65歳以上の高齢者人口は少なくとも2040年まで増加し続ける見通しにあるが、さらに世界の人口は爆発的に増加を続け、その中で高齢者人口も増え続けていく。日本とは比較にならない規模の人口(高齢者)が増加していくのである。いわゆる「人口爆発」と揶揄される事象であり、そのこと自体の議論(課題)も数多いわけだが、ここでは高齢者人口の増加に着目したい。

<次回に続く>

高齢社会白書:孤独死「身近」45% 1人暮らし高齢者調査 内閣府
毎日新聞 2015年06月12日 東京夕刊

一人暮らしの高齢者は推計600万人と言われます。高齢者の約20%が一人暮らしということになります。孤独死が身近な問題となってきています。
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1人暮らしの高齢者の45%が孤独死を身近に感じている−−。

内閣府が65歳以上の約1500人に聞いた意識調査で、こんな傾向が浮かんだ。12日に閣議決定された2015年版高齢社会白書に盛り込まれた。【山田泰蔵】
 調査は内閣府が昨年12月に面接で実施。対象とした1人暮らしの65歳以上2624人のうち1480人から回答を得た。

 「孤独死を身近に感じますか」と尋ねたところ、「感じる」は44・5%、「感じない」は52・1%だった。

 会話の頻度ごとに「感じる」割合をみると、「毎日話す」(818人)の中では38・2%だったが、「1週間に1〜3回」(477人)では49・9%、「1カ月に1、2回」(93人)では63・4%を占めた。ただ「ほとんど話をしない」(91人)は下がって53・8%。

 子供の有無でみると、「いない人」(372人)の中で「感じる」は48・9%、「いる人」(1108人)では43・1%で、いない人の方の割合が比較的高かった。

 年齢層ごとで、最も高かったのが「65〜69歳」の48・7%。年齢が高くなるにつれて「感じる」割合は低くなり、「80歳以上」は38・0%。男女や収入による差はあまりなかった。

 さらに、住宅の種類ごとの「感じる」割合は、最高が「賃貸の木造集合住宅」の54・2%で、最低は「持ち家の鉄筋集合住宅」の36・0%だった。

 1人暮らしの高齢者は近年増えており、現在は推計600万人に上る。白書は1人暮らしの高齢者の生活を支えるために「地域活動を活性化させ、コミュニティーの再構築を促すべきだ」と報告している。

5月12日の日経新聞に、団塊世代「里帰り」の進め、の記事が掲載されていました。我々も、都市圏の高齢者を何とか地方の施設で受け入れが出来ないかを検討しています。この内容を実践したいと考えています。

軽度の要介護者であれば、住所地特例が使え、移住元の都市で介護保険が負担されます。受け入れる地方都市では、財政負担がなく、消費並びに雇用が生まれることになり、双方に大きなメリットがあるはずです。何とか啓蒙する方法がありませんでしょうか?
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■いまだに「医師不足は地方の問題」と思っている人が多いかもしれないが、今後医療・介護施設不足が深刻化するのはむしろ大都市の方である。団塊世代をはじめ高度成長期に地方から出てきた人たちが一斉に高齢化していくのだから、それも当然といえよう。

■もともと大都市の生計費は地方に比べかなり高い。それでも暮らす人が多いのは、都会には生計費以上に高い収入を得る機会があるからだ。ならば、リタイアした高齢者が大都市に住み続ける理由は乏しい。

■もちろん、移住先は故郷でなくてもいい(夫婦で出身地が違うことは多い)。空き家急増に悩む自治体が多いのだから、家賃は当然安く、地方暮らしで生計費は大幅に下がるはずだ。将来、都市で介護難民になってしまうリスクも低下する。

■一方、年金を背負った高齢者がやって来て、消費をしてくれれば、地方は大歓迎である。いずれは医療・介護需要が増えて、地方が強く求める雇用機会の創出につながる。また大都市では、将来の医療・介護分野の人手不足を緩和できる。
都市と地方のコスト差を考えれば、介護費用などは節約が可能となろう。まさに地方創生策にも、人手不足対策にも、歳出削減にもなる一石三鳥の妙案ではないか。

■ただ、ここで大きなネックとなるのは、公的な医療・介護保険の運営主体が地方自治体になっている点である。本誌「経済教室」欄でアジア成長研究所の八田達夫所長と学習院大の鈴木亘教授が指摘されたように。現行制度では移住した高齢者の医療・介護利用が増えれば、地方財政がパンクしてしまう。移住元の大都市がその費用を負担するような財政的な仕組みを早急に検討することが求められる。

■もう一つのネックは、都会の高齢者が将来の医療・介護施設の不足問題を十分に認識していない点にある。衰えた後では移住も難しくなることを考えると、団塊世代がまだ元気な今のうちに「里帰り」の啓蒙活動を始める必要があろう。

未届の有料老人ホーム全国に961件 北海道が最多―厚労省
(ケアマネジメントオンライン2015/03/31 )

未届け有料老人ホームの数が厚労省から発表されています。果たしてこの程度の数字でしょうか?氷山の一角に過ぎないのではないかと思われます。
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厚生労働省のまとめによると、2014年10月末時点で、未届の有料老人ホームは全国に961件あることが、3月30日明らかになった。

施設名称や管理者などの届出を義務付けられている有料老人ホームに該当しながら、届出が行われていない施設について、都道府県からの報告内容がまとめられた。

届出済の有料老人ホームは9,941件で、前年より1,025件増えた。

未届の有料老人ホーム(実態把握中のものを含む)が最も多いのは北海道の458件で、届出済の405件を上回る。
次に未届が多かったのは愛知県で、68件であった。さらに神奈川県の47件と続いた。


前払金の保全措置の実施状況についても調査が行われ、保全措置が義務付けられている有料老人ホームのうち、実際に前払金を徴収しているのは1,260件で、このうち保全措置が講じられていない施設が117件あった。

同省は自治体に対し、届出促進のための取組みを徹底することや、有料老人ホーム事業者に対して前払金の保全措置の実施を徹底することなどを求めた。

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