(身寄りなき老後)日常の金銭管理、ちょっとお手伝い 日常生活自立支援事業 朝日新聞デジタル 2024年12月6日
「福祉サービスを利用するための手続きや、日常的な金銭管理などに不安がある人をサポートする事業を、全国の社会福祉協議会(社協)が実施しています。頼れる身寄りがいない一人暮らしの高齢者も多く利用しているといいます。」 という記事が出ています。
それなりに国は身寄りの無い高齢者に対して支援の輪を広げようとしていますが、行政主導だけではその輪は広がりません。その実態を全国社会福祉協議会が報告しています。
その実態を見て見ましょう。
2023(令和 5)年 8 月 15 日 社会福祉法人 全国社会福祉協議会 Action Report 第 246 号より
令和 4 年度 日常生活自立支援事業に関する調査結果
本会がとりまとめた令和 4 年度の本事業の実施状況調査結果によれば、年間の問合せ・相談件数は 233 万 1,881 件(前年度比 4 万 3,851 件増)であり、1999(平成 11)年10 月に「地域福祉権利擁護事業」の名称でスタートして以来、増加の傾向が続いています。また、1 年間の新規契約者は 1 万 866 人(同 36 件増)で、そのうちの約 4 割を生活保護受給者が占めており、福祉事務所のケースワーカーとの役割分担等が課題となっています。なお、契約終了件数は 1 万 748 件(同 259 件減)でした。
最新のデータでは65歳以上の生活保護受給者は約105万人と増加傾向にあります。日常生活支援はこのレベルで追いつくのでしょうか?
日常生活支援の実利用者数は56,550件ということで、その4割が生活保護としてもその数は22,000人程度となります。生活保護受給者においてもわずか2%程度しか支援ができていないことになりますし、下記にあるようにその数も頭打ちとなっています。しかも実際の支援の担い手である生活支援員は 1 万 5,388 人と減少(同 365 人減)しているのです。
支援したくても、予算と人員の制限でこれ以上の役割を果たすことが困難になっているのです。この事業の重要性は十分にわかるものの、何故マスコミを始めとして限界であることを指摘しないのでしょうか?国も行政もこの現実を直視すべきです。
これにこれまでも指摘をしてきましたように3親等以内の親族がいない高齢者の数は286万人、これが2050年には約448万人にも膨れ上がります。到底行政主導で対応ができるはずがないのです。
令和 5 年 3 月末時点の実利用者数は、56,550 件(同比 1 件増)と、近年は横ばいの傾向が続いていますが、この背景には、本事業が補助事業であり、予算上の制約等から支援を担う職員体制の拡充が難しいことがあげられます。
本事業の実施主体は都道府県・指定都市の社協ですが、事業の一部を委託された基幹的社協(市区町村社協)数は、前年度比 18 増の 1,596 社協になりました。従事職員では、専門員(4,016 人、同 219 人増)は増加した一方、実際の支援の担い手である生活支援員は 1 万 5,388 人と減少(同 365 人減)しています。