無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2013年07月

サービス付き高齢者向け住宅:厚労省「特例」検討 介護保険給付、前居住地が支払い (毎日新聞 2013年07月27日 東京朝刊)

※前にもこのテーマでブログに書かせてもらいましたが、正式には来年度の介護保険法改正にて実行に移される可能性が出てきました。
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住んでいる高齢者の安否確認などの生活支援サービスが付いた「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)について、厚生労働省は、ほかの市町村から移り住んだ住民の介護保険の給付を、以前に住んでいた市町村が支払う「住所地特例」を適用する方向で検討に入った。都市部の高齢者が地方などのサ高住に移り住み、移住先の市町村の介護保険の負担が増えるのを避けるのが目的だ。

サ高住は、1人暮らしや夫婦のみの高齢者が安心して暮らせるよう、バリアフリー構造を持ち、安否確認などの見守りサービスや生活相談サービスが付いた集合住宅。2011年に施行の改正高齢者住まい法で創設された。今年6月末現在で、全国に11万4315戸が登録されている。

入居者が介護サービスを受けた場合、介護保険の給付は住んでいるサ高住のある市町村が支払うことになる。だが、都市部の高齢者の多くが地方のサ高住に入居することが予測されており、移住先の市町村で介護保険の財政負担が増え、財政を圧迫する可能性が懸念されている。

特別養護老人ホームなどの介護施設の場合は、もともと住んでいたのと異なる市町村の施設に入居した場合、入居前に住んでいた市町村が介護給付の支払いを行う「住所地特例」という仕組みがある。地方の市町村からは、サ高住にも住所地特例を適用するよう要望が出ている。

同省は今後、都市部の高齢化対策を検討する有識者会議や、社会保障審議会介護保険部会などで議論を進め、来年度にも介護保険法改正を目指す考えだ。
【細川貴代】
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三重県の脳神経外科医師笠間 睦 (かさま・あつし)先生が朝日新聞医療サイトに見出しの記事をのせておられます(2013年7月27日)。

2025年問題を控えて、色々な識者から在宅医療との連携のとれたサービス付高齢者向け住宅や有料老人ホームの整備に期待が寄せられています。果たして高齢者住宅は、無縁死47万人受け皿居なることができるでしょうか? チャレンジをして参りたいと思います。
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■東京ふれあい医療生協梶原診療所在宅サポートセンター長の平原佐斗司(ひらはらさとし)医師は、将来訪れる日本の多死社会を乗り切るためには、在宅医療の普及が鍵を握っていると指摘しています。

「21世紀前半の日本は多死社会を迎える。70歳以上の高齢者で、亡くなる直前まで自立している人は16.9%しかいないという。人は期間の長短はあっても、ケアの必要な時期を経て死に至る。つまり、多死社会はケアの必要な人が爆発的に増える社会ということだ。…(中略)…日本人は21世紀前半に多くの人の死を経験することになる。一方で、2030年には年間47万人の人が最期の時間を過ごす場がないと推定されており、無縁死の問題がにわかに現実味を帯びてきた。地域で最期の時間を支える在宅医療の普及なしには、この危機は回避できそうにない。」(平原佐斗司:超高齢社会の意味. 2012年8月18日付日本医事新報No.4608 3 2012)

■日本福祉大の二木立教授は、今後急増する死亡の受け皿としては、サービス付き高齢者住宅(サ高住)や有料老人ホームに期待が寄せられている指摘しております(二木 立:今後の死亡急増で「死亡場所」はどう変わるか? 2012年12月22日付日本医事新報No.4626 26-27 2012)。二木立教授の指摘を以下にご紹介します(一部改変)。

「厚生労働省『死亡場所別、死亡者数の年次推移と将来推計』では、2030年には、医療機関、介護施設、自宅での死亡を除いた『その他』が約47万人に達するとしています。何ごとにも慎重な厚労省が、上述した大胆な推計を発表した狙いが、『その他』死亡の受け皿として、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームの整備を促進することにあることは明らかです。」

そして、病院に対してはさらなる平均在院日数の短縮化が求められることになりそうです。

■団塊の世代が一斉に後期高齢者となる2025年には、世界でも類をみない高齢社会が到来すると考えられており、2025年社会保障改革シナリオ「社会保障と税の一体改革案」においては、「現在、一般病床の平均在院日数は19~20日であるが、これを2025年には一般急性期病床を9日程度までに短縮し、回復期リハビリは60日程度を目指す」(岡林清司:2025年問題を見据えた連携を. 2013年5月18日付日本医事新報No.4647 3)ことが目標とされております。
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参院選挙では自民党は次の公約をしました。あくまでも選挙前は痛みを伴う改革については言及せず、選挙が終われば具体的に痛みを求める社会保障国民会議の中身が明らかになって参りました。(朝日新聞 7月26日)

<自民>
 社会保障国民会議の審議を踏まえて制度を見直す。地域で必要な医療を確保(※公約本体)
 保険の対象範囲の適正化。国保の都道府県単位化。高額療養費の限度額引き下げ(※政策集)

下記にありますように、特に介護度の低い要支援向けのサービスを事実上削除する内容になっています。この分野を切り捨てることで、更に、要介護者の増加となる恐れが出てきています。国民的議論を起こす必要があります。

要支援1 目安:日常生活で支援が必要 具体例:身の回りの行動に何らかの支えが必要なときがある
要支援2 目安:日常生活で「1」よりも多くの支援が必要 具体例:「1」に加え、病気や怪我により心身の状態が安定していない等

家族介護が崩壊しつつある状況下で、誰が要支援の高齢者を支えるのでしょうか? 地方自治体に対策を押し付けるのは間違っていると思います。 
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「要支援」介護保険から分離 社会保障国民会議の報告案(朝日新聞 7月26日)

【五郎丸健一、見市紀世子】政府の社会保障国民会議(会長=清家篤・慶応義塾長)がまとめる報告書の素案の概要がわかった。介護を必要とする度合いが低い人向けのサービスを介護保険から市町村事業に移す案のほか、医療・介護の自己負担引き上げなどの「痛み」を求める項目が並ぶ。安倍政権が今後進める社会保障改革の土台となる見通しだ。国民会議は8月6日の報告書提出をめざし、来週から大詰めの議論に入る。

その中身は、『社会保障、軒並み負担増』

■ 政府は報告書をもとに改革の手順を定める法案を、今秋の国会に出す構えだ。

■報告書の素案では、少子高齢化のなかで社会保障を維持するには徹底した重点化・効率化が必要だと指摘。制度を高齢者重視から「全世代型」に転換するよう訴え、高齢者を含めて所得に応じた負担を求める方向性も打ち出した。

■検討を求める具体策は、財政が特に厳しい介護・医療が中心。介護分野では、介護の必要度が低い「要支援」(約140万人)向けのサービスを介護保険から切り離し、市町村の独自事業に移すことや、高所得の利用者の自己負担を今の1割から引き上げることを提案している。ただ、要支援を移管する案には、利用者団体から「市町村側の受け皿が整わない地域ではサービスが低下する」との懸念が出ている。

■ 医療では、患者が紹介状を持たずに大病院を受診する場合、初診・再診料として定額の負担を求める▽保険料の上限引き上げ▽高額の医療費がかかった場合の患者負担の上限見直し(高所得者は引き上げ、低所得者は引き下げ)――などを検討項目に盛り込んだ。安倍政権が検討している70~74歳の医療費窓口負担の引き上げ(1割→2割)も、早期実施を求めている。

■また非正規雇用や無職の加入者が増え、財政が悪化する国民健康保険の再編を医療改革の柱に据えた。国保の赤字を国が穴埋めした上で、運営主体を市町村から都道府県に移し、財政基盤を安定させる。

■中小企業の会社員が入る「協会けんぽ」の財政改善のため、高齢者医療向け負担金の計算方法の変更も提案。加入者の収入に応じた「総報酬割」を全面拡大し、大企業の健康保険組合などの負担を増やす。

■年金では、財政維持のために少子高齢化の状況に応じて給付を抑える「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みを、物価下落時でも実施できるようにすることを盛り込む。受給開始年齢の引き上げは、働き方とセットで中長期で検討する課題とする。

※〈社会保障国民会議〉
昨年夏に自民、公明、民主の3党が消費増税に合意したのに伴い、同時に社会保障改革を進めるために政府が設置した。研究者ら15人が医療・介護、年金、少子化対策の将来像を議論してきた。8月上旬の報告書をもとに政府が改革内容を具体化し、必要な法改正などを進める。自民党は参院選の公約で、国民会議の議論を踏まえ、「社会保障制度について必要な見直しを行う」としていた。
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いくら小規模とはいえ、首都圏で多数の低価格型高齢者住宅をつくるのは至難の業と言えます。しかし、ここに一つのアイデアがあります。都市型といえども低価格型高齢者住宅を開発する方法があるのです。

先日から打ち合わせをしているプロジェクトは今回はもしかして日の目を見るかもしれません。商業ビルの空きフロアーを使って、高齢者住宅に転換するというものです。今まで幾度ともなく試みてきたものですが、今だ実現をしておりません。

商業ビルの1フロアーを使って、高齢者住宅に転嫁するのは簡単ではありません。あくまで住宅にするのですから、建築方法や消防法上の様々な制約条件があるやに聞いています。
特に、採光や避難路、エレベーターや水回り等、もともと住宅でないところを住宅に変換するのですから、簡単にできるものではありません。

しかし、今回そのような物件が表れてきたのです。高齢者住宅への転換が可能なビルのようです。今回のプロジェクトは5階建のビルの3階フロアーを使って、高齢者住宅に転換できるように目論んでいます。

建築法上の問題もクリアできると言いますので、かなり具体化できるものであろうと思います。都内の商業ビルやオフィスビルの改築型高齢者住宅ができれば、都市部の施設不足は一気に解決をするでしょう。

10万円を切る都市型リノべ―ション高齢者住宅ができるかもしれません。実は都市にはそのような埋蔵施設が大量にあるこかもしれないのです。
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昨日は東京都23区内の開発物件の打ち合わせに参加して参りました。これまで23区内で小規模低価格型高齢者住宅を開発するのはもっと先と考えておりましたが、この度地元の金融機関様の御紹介で案件が具体化して参りました。

現在は住宅地の一角で野菜を植えておられ、農地となっていますが、オーナーが最後まで大事に管理をしてきた土地です。オーナーも高齢となったために、将来にわたって活用できるものとして高齢者住宅を考えて頂いたものです。

現地を見るのは2回目でしたが、それは見事な畑で、大都市の中にこのようにきちんと管理されている畑が残されていることに大変感激を致しました。本当に草一本なく、きちんと植えられている野菜は、まさにプロの技でした。

そのような大事な土地にエルスリーを建てて頂き、長きにわたってお預かりすることに責任の重さを感じざるを得ません。金融機関様も都内でもこのような土地は散見され、ここが成功すれば、他にも案件がでてくるでしょうと言われています。是非、同様のモデルを展開したいものです。

只、残念なのは、この区が住宅型有料老人ホームを認めていないことです。住宅型有料は届出制になっているはずですが、ここは区独自の指針で受け付けないと言われます。サービス付高齢者向け住宅は良くても、住宅型有料がノーと言われる意味がわかりません。

行政としても駄目というにはそれなりの理由があるはずですので、その理由を明らかにする責任があるはずですが、その責任も放棄されていることに怒りを覚えます。

サービス付高齢者向け住宅をつくるとなると、通常の住宅型有料のエルスリーの延べ床面積が約620㎡程度であるのに対して、面積基準が大きくなりますので約680㎡と同じ16室でも1割延べ床面積が多くなるのです。オーナーにとっては1割の補助金が交付されても、運営者にとっては大変厳しい内容となります。

おまけに、登録申請、補助金申請となると竣工しオープンするまで、小規模型でも概ねこれから1年かかってしまいます。急速に進む高齢化に対するにあまりに現実離れした対応は何とか改善ができないものでしょうか?
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