無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2013年08月

信濃毎日新聞8月31日の社説で、今回の介護保険改正による自己負担引き上げについて慎重論が述べられています。紹介をしておきます。

所得による一律的な引き上げではなく、資産を含めた公平な基準の設定や境界域の不公平感を回避させるための細かい段階の設定など、今後の検討内容について提案をしています。十分議論すべきだと思います。

政府は高齢者介護サービス利用の自己負担を引き上げる方針だ。社会保障改革の工程表を定めたプログラム法案の骨子に盛り、閣議決定した。

■現在は一律に1割負担だが、一定の所得以上の人に15年度から2割負担を求めるとしている。自己負担引き上げは、2000年度に介護保険制度が始まって以来、初めてになる。それだけに高齢者の声もよく聞き、多くの人に納得される負担の分かち合いにしたい。

■消費税増税だけでは補いきれない社会保障の膨大な借金を後の世代に付け回しせず、超高齢社会でも持続させていくには、一定の負担増は避けて通れない。その負担増を、有識者でつくる政府の社会保障制度改革国民会議が今月初め、報告書で「能力に応じて」と求めたのは、やむを得ない選択といえる。

■介護保険の総費用は11年度に8兆円を突破した。制度開始時の2・3倍だ。自己負担以外の9割分は国・地方公共団体の公費と40歳以上の人が負担する保険料で半分ずつ賄われている。費用の増大はそれだけ公費や保険料の上昇も招いている。

■ただ、利用者の能力に応じた負担を求めるには、慎重な配慮が必要だ。

■厚生労働省は、自己負担2割に引き上げる対象を夫婦の年収が三百数十万円、単身世帯で250万~300万円を基準に検討している。高齢夫婦世帯の平均的な消費支出が年286万円などを考えると、これが余裕のある層と言えるかは議論の余地がある。

■こうした基準が1本の線で引かれることにも境界域の人の抵抗感があるだろう。負担割合は細かい段階に分けることも可能ではないか。その方がより所得に即したものになる。

■また、負担の能力を所得だけで見ることも公平とは言えない。年金収入が同じでも資産に大きな差がある場合が少なくない。例えば、国民健康保険の保険料(国保税)の算定には、所得額による「所得割」などとともに資産額による「資産割」を導入している自治体が多い。介護保険でもさまざまな工夫があってよいのではないか。

■制度の具体的な見直しは、先日再開された厚労相の諮問機関、社会保障審議会の介護保険部会で論議し、年内に取りまとめる。

介護保険に限らず、能力に応じた社会保障の負担を目指すのなら、所得や資産の正確な把握が大前提だ。社会保障の枠内だけでなく税制の取り組みも重要になる。
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8月26日の「コンパクトシティ」の続きです。国土交通省が本格的なコンパクトシティを国主導で作るといいます。

その具体策として次の内容が提案されています。官と民の連携でしか、その実現は不可能と考えます。我々も具体的な構想をもって開発に取り組んでいきたいと思います。
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■まず街づくりの前提となる都市の区域を明確にするため、来年の通常国会に都市再生特別措置法の改正案か、新たな法律案を提出する方針だ。鉄道駅の半径1キロメートル以内を、病院などの都市機能を集める「中心拠点区域」とする案を軸に検討する。中心部の周囲を住宅エリアにし、その外側を郊外と位置づける。

■郊外から中心部へと都市機能の移転を促すため、税財政面での優遇制度も新たにつくる。民間の企業などが中心部の低・未利用地に介護施設を建設したり、既存の建物に保育所をつくったりする場合、国と自治体が費用の8割程度を補助できるようにする

■税制面では、たとえば郊外にある病院が中心部に移る際、郊外の土地・建物を売却して得られる利益にかかる所得税を80%繰り延べ、実質的に減税する。また、中心部で企業や個人が病院の移転先となる不動産を売った場合の所得税や個人住民税も軽減する。国交省は一連の制度創設を14年度予算の概算要求と税制改正要望に盛り込む。

■地方都市が主導する地域の公共交通の再編計画づくりも後押しする。鉄道やバスの重複路線をなくし、郊外から中心部への人の流れを生む次世代型路面電車(LRT)の導入などを促す。

■本格的な高齢化時代を迎え、郊外では車の運転が難しくなり、買い物や病院への通院ができなくなる人が増える。財政難の自治体も郊外に点在する住民に介護・福祉などの行政サービスをきめ細かく提供しづらくなる。

■中心部に都市機能や住宅を集めれば、高齢者が安心して住みやすくなり、行政の負担も減る効果が期待できる。国交省の推計では、市町村が住民1人あたりにかけるインフラ整備や福祉、教育などの行政費用は、人口密度が1平方キロメートルあたり4000人で約29万円。2000人の場合と比べて費用は約1割減る。
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雇用吸収力、医療が上位 企業の「国勢調査」 生産性の低さ課題、効率化へ規制改革急務
(2013/8/28付 情報元 日本経済新聞)

■総務省と経済産業省は27日、2012年の「経済センサス・活動調査」の確報を発表しました。従業員数は老人福祉・介護が全業種で首位となり、ほかにも病院、一般診療所(開業医)といった医療・介護分野が上位に並びました。

■付加価値では老人福祉・介護は4兆0274億円、自動車・自動車部品製造では4兆7463億と4兆円台に並びます。しかし、従業員数は福祉・介護の179万1324人と全業種の中ではトップを占めるのに対して自動車関連では80万3043人と半分以下となります。即ち生産性は倍以上も差があるとみられています。

■「政府が成長戦略の柱に位置付ける業種の雇用吸収力が際立ったが、従業員数の割に売上高が少ないなど、生産性の低さも浮かび上がった」と述べられています。
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改めてこのような記事をみると、今更という感がして仕方ありません。そして、いつも言われる生産性の低さ、労働集約型の転換必要という言葉。誰もが生産性を高める方法については解を出せないままに、いつまでも同じ課題認識だけが飛び交います。

業種的に従業員数に比較して売上高が低いのは、診療報酬や介護費用などが公定価格で縛られている結果として競争が生じにくく、経営効率も低くなっていることが背景と述べられています。

では、どうするのかの処方箋が出てこないのです。

いつものように、

「売上高を増やして生産性を高めるには政府の規制改革による後押しが急務となっている。従来の画一的なサービスではなく、新たなビジネスモデルを創出するマネジメント能力も求められる」

と締めくくっています。
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地方都市を高齢対応型に 中心部に病院や商業施設・・・国交省、税優遇で移転後押し( 2013/8/25 2:00 情報元 日本経済新聞)

見出しの記事が新聞に掲載されていました。以前から言われていた内容ですが、地方都市を高齢者仕様に作り替えねばなりません。

今回の報道は、国土交通省が中心となって街づくり政策を見直すとのことですが、これは国土交通省だけでは、厚生労働省、金融庁、消費者庁、復興庁、総務省、法務省.、 財務省、 経済産業省等の横断的な組織で本格的に議論をして取り組むべきものと思います。 本格的なコンパクトシティ建設に向けてその動きが注目されます。

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■国土交通省は地方都市の街づくり政策を抜本的に見直す。病院や介護・商業施設などを誘導する街の中心部を法律で明確にするとともに、郊外からの移転を国が後押しする補助金や税制優遇策をつくる。

■少子高齢化や地方自治体の厳しい財政事情を踏まえ、郊外に広がった都市機能を中心部に集める「コンパクトシティー」を国主導で全国に広げる方針に転換する。

■戦後の日本の都市づくりは、人口の増大や自動車交通の発達により、中心部から郊外へと機能が拡張してきた歴史だ。だが、人口減や高齢化でこれまでの郊外拡張型の都市を維持するのが難しくなり、都市政策は大きな転機を迎える。

■2014年度からの実施をめざす。国交省が想定するのは、人口数万人規模の都市。年100市程度を対象に集約型都市づくりを支援する。

具体的対策については次回に。
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タブレットやスマホで利用可能な介護スタッフ同士を結ぶITサービス、ワイズマンが提供
2013/08/26増田 克善=医療ITライター/デジタルヘルスOnline (筆者執筆記事一覧)

介護の現場ではITインフラの整備が遅れています。何よりもスタッフ間の情報共有の遅れや、記録情報のデジタル化等の遅れは、介護現場の生産性アップの大きな制約条件にもなっているのではないかと思われます。

そのような状況で、今回ワイズマンが提供を始めるという新しいITサービスには大変関心があります。このような安価なシステムがもっともっと出てこなければ、業界自体の生産性も向上しません。経営者としても、介護スタッフ一人一人と情報交換ができる仕組みが必要です。今後、このシステムを研究をしたいと思います。
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介護業界向けソリューション大手のワイズマンは、介護に携わるスタッフ間コミュニケーションを促進するITサービス「wiseman connect」(ワイズマン・コネクト)を、2013年8月26日から開始すると発表した。

wiseman connectは、Webブラウザを利用するクラウドサービスとして提供される。PC端末だけでなく、タブレットやスマートフォンでの利用も可能。提供されるサービス機能は、
(1)利用者の状態をかかわるスタッフ間で共有する機能、
(2)事務連絡等に利用する掲示板機能、
(3)法人内あるいは事業所内のスタッフどうしでの意見交換などに使う会議室機能の3つ。

 
利用者情報共有機能は、一人の利用者にかかわるケアマネージャー、ヘルパー、デイサービス担当などに閲覧権限を設定し、各人がその日の利用者の状態を書き込んで共有する。

掲示板機能は、法人全体や各事業所単位で複数の掲示板を立ち上げて、各種行事や申し送り事項などの共有に利用できる。

会議室機能は、スレッドを立ち上げて日常的な業務などにおいてベテランスタッフが介護経験の浅いスタッフにアドバイスしたり、意見交換したりできる。

介護の現場では、一人の利用者に対し複数のサービス事業所、あるいは多職種のスタッフが介護業務に携わっているが、事業所のIT環境やスタッフのITスキルの問題から誰でも容易に利用できる情報共有サービスが見当たらないのが現状。

「多職種スタッフ間で利用者の最新の状態を把握・共有しながら、より良い介護を可能にするコミュニケーションツール、事業所内での通達事項をスムーズに伝達できるグループウエア的な機能、日常業務におけるアドバイスやスタッフ教育的な利用を想定したサービスを企画した
(ワイズマン福祉事業本部商品開発室室長 伊藤宏光氏)と開発の経緯を説明した。
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