無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2020年03月

懲役12年の刑で服役後、裁判のやり直し、そして無罪。通算16年という長い時間がかかりました。滋賀県の病院で元看護助手が人工呼吸器を外したとして殺人の罪で刑罰に処され、その無罪を獲得するまでにかかった長い時間は償いようがありません。冤罪が起きた理由の徹底解明と補償をしっかりと行って頂きたい。
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元看護助手に無罪判決 患者殺害で服役やり直し裁判
テレ朝ニュース2020.3.31

17年前に滋賀県の病院で患者を殺害したとして殺人の罪で服役した元看護助手のやり直しの裁判で、大津地裁は31日午前に無罪を言い渡しました。

 (濱田大地記者報告)
 「西山さんは無罪」。裁判官がそう言うと西山さんはまっすぐ裁判官を見据え、落ち着いた様子で「はい」と答えました。元看護助手の西山美香さん(40)は2003年、当時勤務していた滋賀県の病院で男性患者(当時72)の人工呼吸器を外した殺人の罪で懲役12年が確定して服役しました。出所後に大阪高裁が裁判のやり直しを認め、その後に最高裁で確定し、先月からやり直しの裁判が開かれていました。今月31日の判決で、大津地裁は「不整脈など他の死因による自然死の可能性がある」と指摘。また、「自白の信用性や任意性には重大な疑義がある」と判断し、「事件性を認める証拠がない」として西山さんに無罪を言い渡しました。逮捕から実に16年が経ってようやく名誉が回復した形ですが、なぜ冤罪(えんざい)が起きたのか捜査機関にはしっかりとした検証が求められます。
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コロナウイルスは究極的な細菌兵器かもしれない。国防費という概念が崩れていく。目に見えない敵に抗うすべもなく、軍人の代わりに医療従事者が国を守る最前線に立つ。社会や国を支えていた概念がコロナウイルスによって覆させられる。特に、医療・看護・介護従事者の位置づけの再定義や報酬体系の見直しは不可避となるであろう。
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兵士に代わり「社会のヒーロー」になった医療従事者
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年3月28・29日付)
JBpress2020.3.31
 英国では、医療への支出が1990年頃に防衛費を上回った。世界全体で見ても医療支出はうなぎ登りで、今日、先進国ではそのGDP比が平均で9%に達している。
調査会社イプソス・モリの調べによれば、昨年11月の英国で最も信頼されている職業のベスト3は看護師、医師、歯科医だった。政治家は最下位だ。パンデミックのせいで、医療従事者崇拝は急激な盛り上がりを見せている。
国家の主たる目的は、医療従事者に必要な資材を提供することになった。

 かつて爆撃機の製造を託された英国の工場が、今では人工呼吸器を作っている。国家の軍隊も、補助的な医療部隊として再編成されつつある。
経済協力開発機構(OECD)は、医療への支出は長期にわたって増加し続けると予想している。

 いずれは国が医療従事者の給料を引き上げたり、比較的貧しい国の医師を(遠隔診療も次第に導入しつつ)傭兵のように雇ったりするかもしれない。

 医療従事者を補助する仕事も増えていくだろう。

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新型コロナは社会システムを維持する為に介護と看護が重要な職業群であることを明らかにした。これらの労働者の処遇改善を行い、社会システムを支える重要な社会的資源としての位置づけを行わない限り、危機を乗り越えることはできない。ドイツ政府は看護・介護領域の構造改革の為に今年から「介護人材支援法」を施行している。日本も対策を急がねばならない、いつまでも現場の死に物狂いの努力に甘えるわけにはいかない。
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「介護や看病をする女性がいなければ私たちの社会は止まってしまうだろう」
The Hankyoreh japan (プレスリリース) 2020.3.30
 COVID-19により介護と看護に対する社会的価値が明確になった今、これらの労働者の処遇改善が行われなければならないというのがフラズルの主張だ。

COVID-19によりドイツも危機的状況に陥り、通常よりニュースがより頻繁に報じられているが、ドイツメディアは韓国に比べて看護・介護人材がいかに重要かを持続的に取り上げる方だ。一例として今月23日、ドイツ公営放送「ZDF」は、COVID-19の危機の中で社会システムが維持されるのに重要な職業群に関する資料を発表した。予想通り「医療・看護人材」「保育教師」「高齢者介護人材」「医療補助員(血液検査、患者文書管理、処方箋発行などの業務遂行)」「薬剤師補助員」など大部分が看護・介護領域で働く人たちだった。彼女たちがいなければフラズル記者の指摘通り、私たちはこの危機をどう乗り越えていくのだろうか。

この他にもドイツ政府は看護・介護領域の構造改革のために、今年から「介護人材支援法」(Pflegeberufegesetz)を施行中だ。新法案は過去に分離していた高齢者介護と医療・看護教育課程を統合し、勤労条件を改善する内容を骨子とする。法改正により約14万人に達する教育生は3年間の教育課程を履修し、授業料を政府から支援される。研修期間中に訓練手当ても受給することができる。職業教育を受ければドイツだけでなく欧州連合全体で資格を認められるのも特徴だ。この法案でどの程度、介護領域の労働者の処遇が改善するか分からないが、持続的に法案を改正して構造を変えていこうとする試みがいつにも増して重要に思われる。

最近、ベルリンでは市民が毎日夜9時、苦労している医療や看護の人たちのために拍手と共に「ありがとう!」(Danke schoen!)と叫ぶ感謝の挨拶を伝えている。このように市民が自ら防疫の主体として政府の勧告事項を守って医療従事者を支持している場合、政府と議会は市民の健康と安全のために医療従事者および介護者が適切な労働環境で働くことができるよう、法と政策を用意しなければならない。看護・介護領域の構造改革なしに「同一労働・同一賃金」も成すことはできない。COVID-19が投げかけたもう一つの課題だ。
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新型肺炎によって、医療も政治もその脆弱な基盤を露呈してしまった。公衆衛生や医療・介護従事者の高いモラルによって何とか持ちこたえられているが、社会保障費を削り、弱体化した社会システムを新型肺炎が直撃する。
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新型肺炎の本質は、医療システムを破壊する現代的感染症であること
BLOGOS2020.3.29
 新型肺炎のほかの疾患と全く異なる特徴は、①重症患者治療にECMOやら人工呼吸器やら感染防止やらで手間がかかり、②ほぼ3週間は時間がかかり、③医療者に感染の危険があり、④マスクやら何やらを果てしなく消費し、⑤それらが必ずセットでやってくるので、
結果恐ろしいまでに医療システムを疲弊させ、果ては破壊する、というもの。
いわば新型肺炎の攻撃対象は医療システムそのものなのだ。だからあの理知的なメルケル首相が「医療システム」の維持が最重要と国民向けのメッセージで強調したのだ。

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年間の自殺者の数が約2万人に対して高齢者の孤独死は3万5千人~4万人、全死亡者数の約3%を占めると言う。後20年後には高齢者単身世帯は現在の700万世帯から900万世帯に増加し、内約320万人が自分の家を持たない状況が予測される。高齢者の孤独死は高齢者の住宅問題と併せて、重大な社会問題である。しかし、その対応は何と遅れていることか。
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孤独死時代へまっしぐら? ”予備軍”の高齢単身世帯は2040年には900万へ
Yahoo!ニュース2020.3.28
 内閣府の「平成30年版高齢社会白書」によると、平成28年(2016年)の東京23区内の65歳以上一人暮らし死亡者のうち、自宅での死亡者数は3,179人となり、過去最高を記録しました。平成15年が1,451人だったので、13年間で2倍超に増加したことになります。

この東京23区内の孤独死データを基にすると、全国では3万5千人~4万人の高齢者が孤独死で亡くなっていると推察されます。平成30年(2018年)の全国における自殺者(全世代)が約2万600人であることを考えると、孤独死の多さが理解できましょう。誰にも看取られることなく亡くなる人は、決してめずらしくない時代になったのです。

ちなみに、平成28年の全死亡者数は約130万人だったので、高齢者による孤独死の割合は3%前後と推測されます。恐らく、直近では3%を大きく超えている可能性が高いと考えられます。

2040年の高齢単身世帯数は約900万へ増加

さて、前述した「日本の世帯数の将来推計」によれば、65歳以上の単身世帯数は、

 ・2015年実績:625万世帯(32.6%)
 ・2020年推計:703万世帯(34.0%)
 ・2030年推計:796万世帯(37.4%)
 ・2040年推計:896万世帯(40.0%)
と予測されています。

老後の住居は民間賃貸頼み?

そこで問題になるのが、孤独死を迎える自宅が持家なのかどうかということです。現在、日本の持家比率は約61%(全世代平均)ですが、過去の推移から見ても今後の大幅上昇は期待し難い状況にあります。仮に、前提条件を甘くして、この持家比率が65%まで上昇したとしても、2040年には約320万人の高齢者が自分の家を持たない状況になります。

賃貸住宅では“孤独死リスク”が大きな壁に

しかし、一人暮らしの高齢者に貸すことを躊躇(ちゅうちょ)する家主は多いでしょう。仮に連帯保証人がいたとしても、いわゆる“孤独死リスク”があるからです。

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