無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2020年05月

利用者も施設もいったん崩れたバランスはなかなか取り戻せない。このまま終息するのではなく、第二波、第三波がきて、現在の状況が続くと利用者と施設は共倒れになってしまう。介護施設は社会インフラの一つだと言う認識を国も社会も持つべきである。余りにその認識が低い。あるテレビキャスターが通所サービスを指して、食堂に毛の生えた程度といって物議をかもしたが、まだそのようなバカな認識が社会や国にあるのではないか。
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利用減経営を直撃 苦境にあえぐ通所介護施設 感染警戒「緊張感抜けない」
中日新聞2020.5.30
「通所施設に来ることで生活が成り立っているお年寄りがいる。そう思うと、休業という判断はできなかった」。通所介護サービスを提供する健生クリニック(金沢市)の普照(ふしょう)明典事務長(57)が語る。しかし、感染予防で、利用者に来所の回数を減らしてもらっているため、経営は火の車だ。(蓮野亜耶)

利用回数を減らしたことで高齢者の生活リズムが崩れ、昼夜逆転の生活になってしまった、筋力が低下して自宅で転倒した、などの報告が相次ぐ。認知症が進んでしまった人もいるという。神林さんは「本来は、介護は体を密着させることが必要だが、感染リスクの低い介護法を見つけていかないと」と頭を悩ませる。
 普照さんはスタッフらの頑張りに目を細めながらも「国の補償がない中、コロナが収束後に通所施設が生き残れるのか」と危ぶむ。「介護施設は社会インフラの一つだということを国はしっかり認識してほしい」と話した。
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淑徳大学結城康博教授が新型コロナ第二波を乗り越える介護制度について提言している。先日も財務省が介護従事者に給付を行うのに消極的であったと報じられていた。飲食店や小売業に従事する人も通勤者も同じ感染リスクにさらされているのに何故、特別に給付をせねばならないのか、といったもの。結城先生は公共財という意識の強化がこれからの第二波に向けて強化をせねばならないと訴える。その通りであろう。財務省を始め政府の認識の甘さはこの一点に尽きる。

先生の提言に触れておく。
 「今回の新型コロナ問題は「市場経済」の「もろさ」を露呈させたといっても過言ではない。飲食店や小売業者といった「私的財」とも言えるサービス部門へ「休業補償」「家賃補助」という形で公的資金が投入されることは、「市場経済」の限界を社会が認識したことにもなる。まして医療・介護といった「人」の命に関わるサービスは、常時、「公共財」としての認識が必要であり、第2波・第3波に備えての財源措置を継続して講じていくべきである」

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新型コロナの第二波を乗り越える介護制度とは
結城康博 (淑徳大学総合福祉学部教授)
WEDGE Infinity2020.5.30
 新型コロナ問題において緊急事態宣言が解除され、収束の道筋を描き始めている社会ではあるが、介護現場の苦悩は続いている。国も第2次補正予算により支援を図っているものの、最重要課題となっている介護職員の「確保」と「定着」への処方箋には至っていない。

政府は今回の第2次補正予算で、全ての介護系スタッフに、「慰労金」として一律5万円を支給することを決めた。確かに、医療従事者への財源措置や診療報酬アップと比較して、介護分野への財政出動は少ないかもしれない。しかし、第1次補正予算ではクラスターなどが生じた介護事業所のみにしか給付されなかったのに対し、第2次補正では一律給付となったことは高く評価したい。感染者を発生させない日々の介護スタッフらの業務は、かなりの負担を強いられ重労働であった。

現行の社会保険制度に基づいた「市場経済」による介護事業収入では、人手を確保・継続させるには限界がある。緊急事態宣言が解除されても、ワクチンや特効薬の開発がない限り、真の意味での「収束」とはならず、厳しい環境下での介護サービスは必要とされる。介護業界を継続させるためには、新たな人材を参入させなければならず、そのためには大幅な介護報酬アップが不可避であり、介護事業所の収入を増やしていく必要がある。継続した財政出動が求められる。

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日経ヘルスケアが医療・介護関連の新型コロナ感染最新情報を報告している。5月27日時点で全国の約210カ所、介護・障害福祉サービス事業所で約70カ所、計280施設で感染が確認されている。医師が155人以上、看護師が530人以上、介護職員やその他の職員、合計で約1400人を数える。院内感染・施設内感染と思われる患者・利用者等は1660人を超える。従業者と患者・利用者等の合計は3060人以上となる。

5月28日時点で感染者は1万6683例。医療・介護・障害福祉の従事者の陽性者(1400人)が占める割合は約8.4%となる。また院内感染・施設内感染と思われる患者・利用者等(1660人)の占める割合は約10.0%。従業者と患者・利用者等の合計(3060人)は全体の約18.3%である。つまり、国内のCOVID-19の全感染者の6分の1以上が医療・介護・障害福祉セクターで生じているとみられている。

果たしてこの数字の判断はどのように考えればよいのであろうか?日本はまだ抑えられているというのか。
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新型コロナで揺れる医療・介護提供体制
日経メディカル2020.5.29
 日本でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者急増が懸念される中、治療の最前線に立つ医師や看護師などの医療従事者や、重症化のリスクが高い要介護高齢者や障害者などをケアする介護・障害福祉サービスの従事者が感染するケースが増えている。
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未だに介護現場の声は政府には届いてない。日本医療労働組合連合会は全国の事業所へアンケート調査を実施した。その結果わかってきたのは、「マスク等の衛生物資」「体制」「補償」「設備」「情報」の5分野の不足だ。「5つの不足」に対して、衛生資材の現場供給、事業運営に対する資金投入、職員の生活への補償などが喫緊の課題である。何故、その体制ができない?
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「感染は死に直結する」福祉施設から支援求めるSOS、「マスク不足」ほぼ100%回答
Yahoo!ニュース2020.5.29
新型コロナウイルス感染拡大による介護福祉施設の対応について、全国の事業所へのアンケート調査が発表された。調査を実施した日本医療労働組合連合会は、5月29日の会見で「国の責任で物資調達、財政支援を求めたい」と訴えた。

医療現場同様に、介護現場も平時からの人手不足、低賃金の課題がある中、新型コロナの不安のなかで利用者を支えている。さらに、3大介護と呼ばれる「入浴・排泄・食事」を含めて、様々な場面で濃厚接触が避けられない。調査からわかったのは、「マスク等の衛生物資」「体制」「補償」「設備」「情報」の5分野の不足だ。マスクや消毒用アルコールはほぼ100%の事業者が不足していると回答。「マスクは週に1枚の配布」などの切実な声が寄せられた。
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この期に及んで政府の専門家会議は医療・検査体制を強化提言という。これまで医療崩壊を起こすと検査体制を抑えておいて、しかも、議事録さえ残さない。今更検査体制の強化とよく言えたものである。PCR検査を拡大しても、抑制しても大きな悲劇が待ち構えている。この二律背反の難題に取り組むには何が必要かを東京医師会の尾崎会長は考え、次々に手を打った。二律背反のテーマに対して適切な対応すら提言できなかった方々に期待は持ていない。全国の自治体は専門会議の言葉を待たずに独自に検査体制の強化に乗り出している。専門家会議は邪魔以外の何物でもない。
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政府の専門家会議、医療・検査体制の強化などを提言へ
TBS News2020.5.29
 新型コロナウイルス対策を話し合う政府の専門家会議が、29日午後から行われていて、感染の再流行に備えるため検査体制や医療体制の強化などについて提言を行う見通しです。

 「感染の次なる波に備え、今後必要となる医療提供体制の整備、検査体制の拡充など、各種対策の方向性等について、ご議論いただきたいと思っております」(加藤勝信 厚労相)

 関係者によりますと、午後1時半から始まった専門家会議では第2波、第3波といった感染の再流行に備えるため、PCR検査などの検査体制のあり方やクラスターを防ぐための院内感染の防止策などについて意見が交わされています。

 また、各都道府県に向け、検査体制や医療体制を整備するため「感染拡大した際に医師会と連携した地域外来・検査センターを拡充できるのか」といった項目を並べたチェックリストを作成するなどして、体制の強化を提言する見通しです。
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