無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2020年11月

家族介護殺人














孤立する「家族の介護」の犠牲者がまた出てしまった。10年以上にわたって介護をしてきた認知症の70歳の母親を47歳の息子が殺害する事件が起きてしまった。福島地方裁判所の柴田裁判長は「犯行動機は身勝手で、介護サービスの利用も十分にあり得た」と指摘した一方で、「遺族は処罰を望んでおらず、本人も反省している」として判決公判で懲役3年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。

一人で抱え込んでしまいがちな家族介護の難しさを物語っている。福島県で介護が必要と認定された高齢者は、約11万2500人。このうち介護サービスを受けていない、1人暮らしの高齢者や家族に介護されている人は、約1万6670人(約15%)いるという。福島県内でも、同様な事件が後を絶たない。

2019年10月、郡山市・63歳の夫が、長年1人で介護していた25歳年上の88歳の妻の首を絞めて殺害。

2019年11月、川俣町・68歳の息子が92歳の認知症の母殺害後、自殺。

2020年6月、伊達市・80代の夫婦が沼で自殺。

体が不自由な妻を夫が介護など、介護関連の事件が相次いでいる。コロナ禍で更に増えなければよいが。
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10年以上の介護の末、認知症の母を息子が殺害 なぜ事件は起きたのか?「家族介護」に生じる“孤立”
FNNプライムオンライン2020.11.29

認知症の70歳母親を殺害した息子 事件の背景は

2020年4月、福島・南相馬市で、自宅で介護をしていた70歳の母親の顔に、折りたたんだ布団をかぶせ窒息死させるという事件が起きた。

逮捕されたのは、47歳の息子。犯行後、自ら消防に通報し、事件が発覚した。

2020年11月9日の初公判で、起訴内容を認めた息子。
法廷では、認知症を患い、徘徊(はいかい)などを繰り返す母親の面倒をみながら、毎日の食事やおむつ交換の時間を細かく記したノートも示された。

検察側は、2020年2月ごろから、母親の顔に布団をかける行為を繰り返していたことを明らかにし、「泣き叫ぶ声が近所迷惑になると考え、犯行に及んだ」と厳しく指摘。

一方、弁護側は「責め立てられているようで、耐えられなかった」と、泣き声を少しでも小さくしようとしただけと主張した。

判決公判で福島地方裁判所の柴田雅司裁判長は「犯行動機は身勝手で、介護サービスの利用も十分にあり得た」と指摘した一方で、「遺族は処罰を望んでおらず、本人も反省している」として、懲役3年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。

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訪問介護人手不足













訪問介護職が深刻な人手不足に陥っている。9月の有効求人倍率は15.47倍となった。全ての職種の平均と比較しておよそ16倍に、介護職全体と比較してもおよそ4倍になった。訪問介護の現場では、訪問先で感染したり、逆にウイルスをうつしたりする不安から、高齢のヘルパーを中心に離職するケースが相次いでいて、ことし9月に専門家が訪問介護職に行った調査でも、36.4%の人が「自分が働く事業所でコロナの影響によって離職や休職した職員がいる」と回答している。

介護現場に詳しい城西国際大学の清水正美教授は「このまま人手不足が続くと、必要な人が介護を受けられず、介護保険制度はあってもサービスを受けられないという危機的な事態を招いてしまう」と指摘し、働く人の使命感に頼るのではなく、仕事に見合った基本報酬の見直しを求めている。
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コロナで訪問介護職の人手不足が深刻化 有効求人倍率は15倍超
NHK NEWS WEB2020.11.30
新型コロナウイルスの感染拡大で、ホームヘルパーなどの「訪問介護職」が深刻な人手不足に陥っています。ことし9月時点の有効求人倍率は15倍を超え、現場からは、人材を確保するためにも介護報酬を引き上げ待遇を改善すべきだという声が上がっています。

この訪問介護職、新型コロナウイルスの感染拡大で、人手不足に拍車がかかり、厚生労働省によりますと、ことし9月の有効求人倍率は15.47倍となりました。

すべての職種の平均と比べるとおよそ16倍で、介護職全体と比較してもおよそ4倍の高さとなります。

訪問介護の現場では、訪問先で感染したり、逆にウイルスをうつしたりする不安から、高齢のヘルパーを中心に離職するケースが相次いでいて、ことし9月に専門家が訪問介護職に行った調査でも、36.4%の人が「自分が働く事業所でコロナの影響によって離職や休職した職員がいる」と回答しています。

介護事業所の中には、新型コロナウイルスの感染拡大で、職員が相次いで退職するところも出てきています。

訪問介護事業所を運営する社会福祉法人・千葉勤労者福祉会の門脇めぐみ介護部長は「訪問介護はもともと人手不足が深刻でコロナが追い打ちを掛けています。ウイルスに感染する怖さと相手にうつしてしまう不安がヘルパーに重くのしかかっています。今はみんな、責任感だけで頑張っていると言っても過言ではありません。国はせめて、ヘルパーの待遇を改善できるように、介護報酬の見直しを進めてもらいたい」と話しています。

介護現場に詳しい城西国際大学の清水正美教授は「このまま人手不足が続くと、必要な人が介護を受けられず、介護保険制度はあってもサービスを受けられないという危機的な事態を招いてしまう」と指摘しました。
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基幹病院でクラスターが起きた場合にどれほどの影響があるのか、旭川市で現実のものとなっている。都市医療の崩壊と異なり、地域医療が崩壊した場合はその影響は広範囲に及び甚大な被害をもたらす。旭川の基幹病院は旭川市の約40万人弱、それに加えて稚内、利尻島、礼文島、留萌、富良野、全部を合わせると四国から九州に近いくらいの面積をカバーしているという。この一帯に影響がであるのである。当然、救える命も救えなくなる。
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「地域医療」追い詰める“基幹病院のクラスター”
テレビ朝日2020.11.29
新型コロナウイルス感染拡大による「医療現場のひっ迫」は深刻さを増しています。大都市圏では多くの病院が満床状態に、ある地域では「市全体の病院機能」が崩壊の危機に直面しているというのです。
厚生労働省によると全国の病床使用率(25日時点)は、兵庫県で68%、大阪府で55%に達するなど大都市圏を中心に上昇を続けていますが、実はある地方都市では「市全体の病院機能」が危機的状況に陥っています。

▽旭川市 「地域医療」崩壊の危機
人口およそ33万人を抱える北海道第2の都市・旭川市。寝たきりの患者が多い吉田病院で“道内最大規模のクラスター”が発生し、これまでに138人が感染、13人が死亡しています。(28日時点)

旭川市内には“連携”して地域医療を支える5つの『基幹病院』があり、新型コロナの病床数は152床あります。(ANN調べ)しかし吉田病院に加え、基幹病院のひとつ旭川厚生病院でも大規模クラスターが発生。(120人感染、28日時点)病床使用率が約70%に達しています。

▽「基幹病院」クラスターで連携が崩壊
旭川市では、5つの基幹病院がそれぞれ高度・専門医療の役割を分担し連携することで“地域医療”を支えてきました。
しかし、周産期医療などで中心的な役割を果たしていた病院でクラスターが発生したため、その患者を受け入れる病院の負担が増大。「市全体の病院機能」が危機的状況に陥っているといいます。

地域医療」が崩壊した場合の影響は、広範囲に及ぶと言います。
牧野院長:「旭川の基幹病院というのは、旭川市の約40万人弱、それに加えて稚内ですとか、利尻島、礼文島、留萌、富良野、そういった四国から九州に近いくらいの面積をカバーしています」「本来であれば助かるのに、助からない方が出てくるということになろうかと思います。」
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医療崩壊は現実論2














パソナ会長竹中平蔵氏が「朝生」で「重症者430人で医療崩壊なんておかしい」と主張し、仁木医師から「ECMOは10人のスタッフが必要。負担が全然違う」と即座に反論されていたが、ネット上でもこの程度の重傷者で日本の医療が崩壊するはずがないという声が多い。日本の医療の現実を知らないとしか言いようがない。

今年3月の厚労省発表の医療動態調査結果を見ればよい。➡私の6月4日のブログ「 」を参照されたい。

日本の病院数は人口1000人当たりの急性期病床は米国2.44床に対して7.79床と世界一と言われるが、ICU病床は人口10万人当たり7.3床と米国の34.7床の5分の1に過ぎないのである。現在の日本の集中治療体制では新型コロナ感染症のオーバーシュート(爆発的患者急増)による重篤な患者の増加には対応できないと言われるのはこの点である。

更に、もう一つの問題は、日本の病床数の内、精神病床(325,634床)と療養病床(312,140床)を合わせると全体の約50%を占めるのである。病床数は多いものの、その内半数が世界一といわれる精神科病床と療養病床(老人病院)が占めているという世界でも例を見ない構造となっている。

即ち、一般診療所が全体の病院数の約6割を占め、病床数は多いものの、その半数が精神科、老人病院と化し、残りの病床もICUも少なく、新型コロナ等の新しい感染症の爆発的な感染には耐えられないということが明らかになってきたのである。新型コロナを契機に日本の医療体制の抜本的な改革が必要なのである。このことを多くの国民が認識しなければならない。

恐らく新型コロナが収まっても、第2、第3の新型コロナが発生する可能性がある。日本の医療は大きな転換点にあることを、新型コロナは教えている。
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「既に限界…今が対策のラストチャンス」 新型コロナでひっ迫する医療現場、重症者は最多の462人
東京新聞2020.11.30
今月に入り、新型コロナウイルスの感染が急拡大し、重症者が過去最多を更新し続けている。厚生労働省によると、29日の全国の重症者は前日から22人増え、462人となった。医療現場は予想を超える速度で逼迫しており、医師からは「既に限界。人の動きを止めないと、救える命が救えなくなる」と痛切な叫びが聞こえる。(原田遼)

病院によると、人工呼吸器や人工心肺装置「ECMO(エクモ)」を備えた重症患者用治療室では機器のアラーム音が絶え間なく響き、防護服姿の看護師が24時間体制で、投薬や人工呼吸器の調整のためにせわしなく動く。血流をよくするため、患者の姿勢を変えるのには7、8人の手が必要だ。

都は重症者用病床を現在の150床から倍増させる方針だが、内田病院長は「重症者用ベッドを1つ増やすのに5~6人を増員しないといけない。かなり厳しい」と指摘する。ベッドが増えなければ、助かる命も助からなくなる。「今は、外出制限など対策をしないと、感染は止まらない」

実情を伝えるため、自身のフェイスブックでも、「届け出病床の何%が埋まっているかなどと、書類の数字を眺めているだけでは真の切迫感は分からない」「このまま無策では2~3週間後までに医療崩壊を迎える」と発信する。
 軽症者が多かった夏場に比べて、現在は中等症でも比較的症状の重い患者の受け入れ要請が目立っている。「高齢者にも感染が拡大しており、重症者数や死者数がさらに増えかねない」
 「Go To トラベル」の見直しなどに慎重な政府の姿勢に焦りを感じる。「医療が崩壊すれば、結果的に経済も共倒れになりかねない。感染を抑えた後に経済を回すためにも、今が対策を打つラストチャンスではないか」
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グループリビングの落とし穴














自宅と施設の中間施設として再びグループリビングが注目を集めつつある。今回紹介されたのはセーフティネット住宅制度を使った民家改造型のシエアハウスである。確かニーズはあり、対象となる物件もたくさんありそうだ。しかし、グループリビングは簡単ではない。我々もチャレンジしたことがあるが、思わぬ落とし穴がある。高齢者同士がシエアをして助け合いながら暮らす、その考えは理想であるが、加齢に伴うADL低下のスピードが速いのである。我々が取り組んだグループホームでは9人の内、半数が3年以内に認知症となって共同生活が困難となった。加えて、そのようなグループリビングは有料老人ホームとみなされ、ハードとソフトの制度の制約が出てくるのである。出口戦略を同時に考えた対策を事前に考えていなければ破綻をしてしまう。
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空き家をリノベした「セーフティーネット住宅」、高齢者の住まいの選択肢に
マネーWEB2020.11.28
高齢者の住まい選びは重要な問題である。介護スタッフが常駐する老人ホームやサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)は、比較的知られた選択肢だ。一方で、いまは制度として位置づけられていないが確かなニーズがあり、ジャンルとしても確立しつつある高齢者の“もう1つの住まい方”がある。

 個人用の居室と共同生活空間で構成される住宅で、高齢者同士が助け合いながら暮らす「グループリビング」などはその代表格だろう。他にも、視野を広げればさまざまある。「もうひとつの住まい方推進協議会」代表理事の小林秀樹さんに聞いた。

「高齢者の住まいを考えるとき、【介護】【経済】【情緒(生きがい)】の3つの要素が重要です。いま多くの高齢者の選択肢は自宅か介護施設。自宅は独居になれば不安が大きく不経済。施設は、介護は重視されるが介護事業者が運営しているので生活は受け身。空きがある民間施設は費用も高い。選択肢がこれだけでは将来が不安になります。

 そこでもう1つの選択肢。同じような立場、考えの人が集まって暮らすグループリビングは、介護保険サービスを使えば【介護】と【情緒】(安心)が。さらに発展形として、たとえば独居の広い一戸建てに4~5人が共生すればかなり安上がり【経済】で、三拍子揃います。グループリビングは制度の枠を先取りしている住まい。いずれは福祉支援制度の中に位置づけられることを期待しています」

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