我々身元引受事業の今後を考えた場合、従来の成年後見人制度と併せて、社共が取り組んでいる「日常生活支援事業」との関係を考えざるを得ない。
日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な人が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うものである。
毎日の暮らしの中で、不安や疑問、判断に迷ってしまうことが生じた場合に、福祉サービスの利用手続きや、金銭管理の手伝いをして、認知症高齢者等で判断能力が不十分な方が安心して暮らせるようにサポートする事業が日常生活自立支援事業である。
(日常生活自立支援事業の概要と支援の現状「社会福祉法人全国社会福祉協議会地域福祉部」より)
日常生活自立支援事業のサービス内容の多くは後見業務の範囲に含まれるため、成年後見人が選任されたら、基本的には日常生活自立支援事業は解約を検討することになるが、 両制度を併用することで、制度的に互いに補完し、支援を重層化できる場合もある。次のような場合には併用が認められるという。
① 権利侵害、虐待等をうける恐れがあり、権利侵害防止を図る観点から、日常的な見守り体制が必要な場合、同居者や親族が何らかの生活課題を抱えており、本人の生活を支援するために、ファミリーソーシャルワークの観点から同居者や親族を含めた見守り体制が必要な場合。
② 精神的な問題等により、本人からの頻繁な訴えに対してきめ細かな対応が必要であり、複数の機関での関わりが必要な場合、本人にとって、新しい人間関係を形成することが難しく、日常生活自立支援事業の支援がなくなることが本人にとって大きな不利益となることが想定される場合等。※3~6か月の移行期間を設け、この間に後見人等は本人との信頼関係の構築に努め、一定期間経過後は円滑に成年後見制度への全面移行を図る。
③ その他、親族による後見人等であって、後見人等が後見業務を全面的に担うことができない特別な事情がある場合も該当する。
以上から、日常生活自立支援事業は成年後見人制度を補完するような形で社会のニーズに応えようとしたものと考えられる。
日常生活自立支援事業に申込むと各地域の社会福祉協議会で働く「専門員」「生活支援員」が契約者のもとを訪問して契約者をサポートすることになるが、果たして、その機能は十分なのであろうか?
今までの実績を振り返ってみると実利用者数は令和元年度に55,717人となっており、新規契約者数は11,419人(前年11,538人)と頭打ちの状況となっている。問い合わせ件数は2,128,325人と多いが実際の契約件数はわずか0.5%程度にとどまっている。何故、利用が伸びないのか? 頭打ちになっているのか?
その理由としては次の点が挙げられる。
① 行政の予算、人員の制限
② 専門指導員の資質の問題
③ 市町村社協の内部けん制や業務監査体制の不備 (組織的課題)
即ち独居高齢者が約700万人や認知症高齢者約700万人と急増する中で需要の変化に量、質共に追いつけず、相談件数が増加するにもかかわらず、捕捉し切れていないことが伺える。 成年後見人制度も不十分な制度であり、それを埋めるべき日常生活支援事業も保管機能を十分に発揮できていないのではないかと推察される。
特に最大の問題は、成年後見人制度も日常生活自立支援事業も身元保証業務はできないことにある。
認知機能の低下が進み、更に、家族に身元引受を頼れない時代になっているにも関わらず、その代替組織として後見制度も自立支援事業も機能しきれていないのである。最大の問題は両組織ともリスクを負えない制度であることにある。
賃貸住宅や施設への入居、病院への入院等の際に、身元保証人(または身元引受人)の設定を求められることが多いが、身元保証人になってくれる人を見つけることができなければ、入居・入院ができないこともある。
身元保証人になると、緊急時の連絡先となるだけでなく、入居・入院に関する債務を保証する責任も負うことになるため、気軽に引き受け手が見つからないのである。
後見人がいる場合は身元保証人は不要というケースもあるが、後見人と身元保証人は役割が違うため、後見人がいても身元保証人が別途必要というケースの方が多いのが現状なのだ。
以上を総括すれば、ニーズが高まっている割に利用者が増えないというのは成年後見人制度も日常自立支援事業も制度が成熟する前に、制度そのものが未完成な為に失速をして、機能不全に陥っていると言っても過言ではないのではないか。 であるならば、民間主導でリスクを取りながらその穴埋めを行う事業が求められるのは不可避であろう。
日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な人が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うものである。
毎日の暮らしの中で、不安や疑問、判断に迷ってしまうことが生じた場合に、福祉サービスの利用手続きや、金銭管理の手伝いをして、認知症高齢者等で判断能力が不十分な方が安心して暮らせるようにサポートする事業が日常生活自立支援事業である。
(日常生活自立支援事業の概要と支援の現状「社会福祉法人全国社会福祉協議会地域福祉部」より)
日常生活自立支援事業のサービス内容の多くは後見業務の範囲に含まれるため、成年後見人が選任されたら、基本的には日常生活自立支援事業は解約を検討することになるが、 両制度を併用することで、制度的に互いに補完し、支援を重層化できる場合もある。次のような場合には併用が認められるという。
① 権利侵害、虐待等をうける恐れがあり、権利侵害防止を図る観点から、日常的な見守り体制が必要な場合、同居者や親族が何らかの生活課題を抱えており、本人の生活を支援するために、ファミリーソーシャルワークの観点から同居者や親族を含めた見守り体制が必要な場合。
② 精神的な問題等により、本人からの頻繁な訴えに対してきめ細かな対応が必要であり、複数の機関での関わりが必要な場合、本人にとって、新しい人間関係を形成することが難しく、日常生活自立支援事業の支援がなくなることが本人にとって大きな不利益となることが想定される場合等。※3~6か月の移行期間を設け、この間に後見人等は本人との信頼関係の構築に努め、一定期間経過後は円滑に成年後見制度への全面移行を図る。
③ その他、親族による後見人等であって、後見人等が後見業務を全面的に担うことができない特別な事情がある場合も該当する。
以上から、日常生活自立支援事業は成年後見人制度を補完するような形で社会のニーズに応えようとしたものと考えられる。
日常生活自立支援事業に申込むと各地域の社会福祉協議会で働く「専門員」「生活支援員」が契約者のもとを訪問して契約者をサポートすることになるが、果たして、その機能は十分なのであろうか?
今までの実績を振り返ってみると実利用者数は令和元年度に55,717人となっており、新規契約者数は11,419人(前年11,538人)と頭打ちの状況となっている。問い合わせ件数は2,128,325人と多いが実際の契約件数はわずか0.5%程度にとどまっている。何故、利用が伸びないのか? 頭打ちになっているのか?
その理由としては次の点が挙げられる。
① 行政の予算、人員の制限
② 専門指導員の資質の問題
③ 市町村社協の内部けん制や業務監査体制の不備 (組織的課題)
即ち独居高齢者が約700万人や認知症高齢者約700万人と急増する中で需要の変化に量、質共に追いつけず、相談件数が増加するにもかかわらず、捕捉し切れていないことが伺える。 成年後見人制度も不十分な制度であり、それを埋めるべき日常生活支援事業も保管機能を十分に発揮できていないのではないかと推察される。
特に最大の問題は、成年後見人制度も日常生活自立支援事業も身元保証業務はできないことにある。
認知機能の低下が進み、更に、家族に身元引受を頼れない時代になっているにも関わらず、その代替組織として後見制度も自立支援事業も機能しきれていないのである。最大の問題は両組織ともリスクを負えない制度であることにある。
賃貸住宅や施設への入居、病院への入院等の際に、身元保証人(または身元引受人)の設定を求められることが多いが、身元保証人になってくれる人を見つけることができなければ、入居・入院ができないこともある。
身元保証人になると、緊急時の連絡先となるだけでなく、入居・入院に関する債務を保証する責任も負うことになるため、気軽に引き受け手が見つからないのである。
後見人がいる場合は身元保証人は不要というケースもあるが、後見人と身元保証人は役割が違うため、後見人がいても身元保証人が別途必要というケースの方が多いのが現状なのだ。
以上を総括すれば、ニーズが高まっている割に利用者が増えないというのは成年後見人制度も日常自立支援事業も制度が成熟する前に、制度そのものが未完成な為に失速をして、機能不全に陥っていると言っても過言ではないのではないか。 であるならば、民間主導でリスクを取りながらその穴埋めを行う事業が求められるのは不可避であろう。