無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2024年04月

身元保証ガイドライン表紙














今年になってから議論となっていました高齢者等終身サポート事業(身元引受事業)のガイドライン案が9日に開かれた「孤独・孤立対策推進本部」の初会合で示されました。今月1日に施行された孤独・孤立対策推進法に基づいて設置されたもので、スピード策定といえます。岸田首相は「誰ひとり取り残さない社会の実現に向けて協力をお願いしたい」と述べたが、いよいよ本格的に民間の身元引受事業が始まることになります。   

ガイドライン案は当協会が14年間の身元引受事業で積み重ねてきた内容とほぼ合致する内容となっていますので、ひとまず安心というところ。
身元保証事業ガイドライン 














 

契約締結にあたって留意すべき事項  
○ 契約締結にあたって、事業者は、民法や消費者契約法に定められた民事ルールに従いつつ、契約内容の適正な説明(契約書・重要事項説明書を交付した説明)を行うことが重要。また、医療・介護関係者等との連携や、推定相続人への説明など、きめ細かい対応を行うことが望ましい。  
○ 寄附・遺贈については、契約条件にすることは避けることが重要であり、遺贈を受ける場合も公正証書遺言によることが望ましい。 等   

契約の履行にあたって留意すべき事項   
事業者の体制に関する留意事項   
○ 利用者が安心して利用できるよう、ホームページ等を通じた情報開示、個人情報の適正な取扱い、事業継続のための対策、相談窓口の設置に取り 組むことが重要。   
○ 契約の履行にあたっては、契約に基づき適正に事務を履行するとともに、提供したサービスの時期や内容、費用等の提供記録を作成、保存、定期的 な利用者への報告が重要(後見人にも情報共有が重要)。利用者から前払金(預託金)を預かる場合、運営資金等とは明確に区分して管理する ことが望ましい。なお、履行の際にも医療・介護関係者等との連携が重要。   
○ 利用者からの求めがあれば、利用者が契約を解除する際に必要な具体的な手順等の情報を提供する努力義務を負う。   
○ 利用者の判断能力が不十分となった場合、成年後見制度の活用が必要。成年後見人等が選任された後は、契約内容についてもよく相談することが 望ましい。 等

身寄りのない高齢者への生活支援 国が事業者向けガイドライン 
朝日新聞デジタル2024.4.19
 身寄りのない高齢者の生活支援に携わる民間事業者の増加を受け、政府は19日、「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」案を示した。利用者と事業者との間のトラブルを防ぐ狙い。来月18日まで意見を公募して正式に策定する。

ガイドライン案では、「利用者の尊厳と自己決定を尊重」と明記。契約書を作成することや、提供したサービスの時期や内容、費用を記録して保存することなど、事業者が留意するべき事項を定めた。利用者から前払い金を預かる場合、運営資金とは明確に分けて管理することも求めた。
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生活保護減額訴訟大阪高裁の間違い 













大阪高裁は今回も生活保護減額訴訟で二審判決を退けた。 2013年の引き下げは、生活保護基準を決める際に使ってきた従来の指標を前回は使わず、社会保障審議会生活保護基準部会の検証を経ないで独自の指標をもとに安部元総理が公約を実行する為に厚労省が忖度し、意図的に引き下げたものであることは明白である。にも関わらず、それを厚労大臣の裁量権の範囲であると断じて退けた。断じて許されない。

 各地裁でそのことが議論され、これまでに出た26件の一審判決のうち、15件で処分取り消しが認められている。その過程で問題点は明らかになってきたはずである。ある裁判では厚労省は引き下げの原因について、明確な返答もできなかったと言われる。にもかかわらず、まだ、このような偏った判決を繰り返す大阪高裁は明らかに間違っている。前回も大阪府弁議会が見直しを求める声明を出したにもかかわらず、同じ過ちを繰り返す。その内容は次の通りである。

2023年(令和5年)4月14日にも大阪高等裁判所は、2013年(平成25年)8月以降に国が実施した生活保護基準の引下げ(以下「本件引下げ」という。)は生存権保障を具体化した生活保護法に反するなどとして、大阪府内の生活保護利用者らが保護費減額決定の取消しなどを求めた訴訟の控訴審で、同決定を違法として取り消した一審大阪地裁判決の判断を覆す判決(以下「本判決」という。)を言い渡した。   

今回も同じ大阪高裁が兵庫県内の受給者9人が神戸市などに減額決定を取り消すよう求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(森崎英二裁判長)は4月26日、請求を退けた一審・神戸地裁判決を支持し、受給者側の控訴を棄却した。   

一体大阪高裁は何故にこうも国に忖度ばかりする判決を出すのか?前回も大阪府弁護士会が次の「行政に対する司法のチェック機能を後退させた大阪高裁判決に抗議し、改めて生活保護基準引下げの見直しを求める会長声明」を出したが、今回もこの意見は無視された。   

「大阪地裁判決を含むこれらの判決(但し、さいたま地裁判決を除く)は、社会保障審議会生活保護基準部会の検証を経ないで実施された「デフレ調整」に関する厚生労働大臣の判断につき、統計等の客観的数値等との合理的関連性や、専門的知見との整合性の有無を詳細に検討し、生活保護法の定める健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を具体的に保障するという視点から、裁量権の逸脱又はその濫用があるとした点において共通するものであった。    

ところが、本判決は、上記基準部会による検証について「あくまで厚生労働大臣の判断の合理性を担保する手段」に過ぎないと位置づけ、最高裁判所が、老齢加算廃止訴訟判決(平成24年2月28日判決及び同年4月2日判決)において求めた専門的知見との整合性」の審査についても「確立した専門的知見との矛盾が認められる場合」に限って、専門的知見との整合性が欠けると判断すべきという独自の高いハードルを加え、厚生労働大臣の裁量権を広範に認めた上、本件引下げの理由として国が説明するところを、「一応合理的」「一定の合理性」「それなりの合理性」というような緩やかな指標で追認し、本件引下げを適法であると判断した。   

本判決は、司法に期待されている行政へのチェック機能を積極的に発揮する方向に転換してきた一連の地裁判決の流れに、再び水を差して消極的な姿勢を打ち出したもので、司法に救済を求める少数者の人権擁護という職責を放棄し、国民の司法への期待や信頼を損なうものと評価せざるを得ない。」   

生活保護費減額、受給者が二審も敗訴 大阪高裁が国の裁量を広く認定   
朝日新聞デジタル2024.4.26  
 国が2013~15年に行った戦後最大の生活保護基準額引き下げは生存権を保障する憲法25条に違反するとして、兵庫県内の受給者9人が神戸市などに減額決定を取り消すよう求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(森崎英二裁判長)は26日、請求を退けた一審・神戸地裁判決を支持し、受給者側の控訴を棄却した。   

高裁は、基準引き下げを巡る厚生労働相の判断が違法となるのは「手続き上の過誤があるだけでは足りず、過誤が重大で、現実の生活を無視して著しく低い基準を設定した場合に限られる」と述べ、国の裁量を広く認める判断枠組みを示した。   

その上で、受給世帯があまり買わないテレビやノートパソコンなどの価格下落を強く反映させる独自の指数が基準額算定に使われた点について、「専門技術的知見」に基づく厚労相の裁量の範囲内と判断。「重大な過誤」はなく、引き下げは適法だと結論づけた。
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ケアマネ8万人不足














高齢化で介護ニーズが更に拡大していく今後、全国でどれくらいのケアマネジャーが必要となるのか日本総研がをシミュレーション結果を報告した。それによれば2040年までに8万人超の増加が必要という試算をしました。ケアマネの数が増えない背景に何が起きているのかを示す一例として評価できるのではないかと思います。   

特に注目したのは負担と感じる業務分析です。時間的負担、心理的負担を見た時に、時間的負担では以前から言われれているように事務負担の大きさが指摘さていますが、利用者の緊急時の対応や入退院の対応が続いてあげられ、特に心理的負担では同内容が最も大きく感じていることがわかります。   
負担の多い業務
本来の業務以外の業務に多くの時間が取られ、尚且つ、心理的負担がケアマネを苦しめていることが伺えます。   

人材不足の対策として、人材確保や生産性向上が不可欠と言われますが、その前にケアマネのタスク分析をもっと行い、ケアマネでしかできない業務に集中できる環境を作ることが最も重要な課題ではないでしょうか。シャドーワークに振り回される限り生産性の向上は期待できませんし、人材確保もできません。
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人手不足のケアマネ、2040年までに8万人超の増加が必要 国推計 人材確保・生産性向上が不可欠 
介護のニュースJOINT2024.4.24  
 高齢化で介護ニーズが更に拡大していく今後、全国でどれくらいのケアマネジャーが必要となるのか − 厚生労働省が日本総研とともに昨年度に実施したシミュレーションの結果が公表された。【Joint編集部】   

ケアマネ1人あたりの担当件数などが今と変わらないことを前提に2022年度と比べると、2025年度までに約2万7千人、2040年度までに約8万3千人の上積みが必要となる。 ケアマネの人数は、現任者の高齢化もあって足元で微減傾向が続いている。これから人材確保や生産性向上などを実現しなければ、高齢者が必要なサービスを速やかに受けられない問題が深刻化する懸念が強いことが、改めて浮き彫りになった格好だ。   

報告書では今後求められるケアマネジメントの体制整備に向けて、新たな人材の確保や離職の防止、ケアマネ1人あたりの担当件数の引き上げなどが必要と指摘。処遇の改善、業務負担の軽減、資格試験の受験者数の増加、実務研修後の入職率の向上、より長く安心して働ける環境の整備などに向けた施策を、総合的に推進していくべきと提言している。
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当協会の身元引受のエリア別利用者数を分析してみました。やはり圧倒的な割合で首都圏が増加中です。

エリア別利用者割合
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介護離職














スウェーデンには介護離職がないと言われます。日本は年間10万人を超える状況です。何が違うのでしょうか?

スウェーデンの社会福祉について次のように述べられています。
「介護離職」がないスウェーデン、年間10万人を超える日本 何が違う?
ヨミドクター2024.4.19 

「スウェーデン人は、長年税金を払い続けてきたのだから社会保障は権利であると、保障を受けることに堂々としています。そして、国の政策を信頼しています。そのため、家族に頼ろうという姿勢の高齢者には出会ったことがありません。」

「スウェーデンでは介護離職はありません。スウェーデンでは、パートナーや親子であっても、介護は介護する側が希望する場合にのみ行われます。そして、終末期においては、家族や大切な人と最期を共に過ごすために、医師が終末期ケアと認定することで、給料の8割が社会保障制度から出ます。さらに、自宅でも施設でも病院でも、ケア(医療と介護)はスタッフが行うため、家族は自分が大切な人と過ごしたいと思う時間にいることができ、何かしなくてはいけないことはありません。 」

次の表は日本とスウェーデンの国民負担率の国際比較です。
国民負担率(租税負担率+社会保障負担率)と潜在的国民負担率(国民負担率+財政赤字対国民所得比)を比較すると日本では2024年度は45.1%と50.9%、スウェーデンは2021年度で同55.0%と55.6%となります。国民負担率で10%、潜在的国民負担率で約4%の違いしかありません。
国民負担率国際比較2


















両国の比較は文化も歴史も違う為、一概には言えませんが、社会福祉のあり方を抜本的に見直さねばならないのではないでしょうか。

「国によって、高齢者介護のあり方と高齢者の心構えがこんなにも違うことに驚きます。超高齢社会を上手に乗り越えるために、日本は発想の転換が必要かもしれません。(宮本)」という意見に同意します。

「介護離職」がないスウェーデン、年間10万人を超える日本 何が違う? https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20240410-OYTET50001/ ヨミドクター2024.4.19   
 日本には、家族を介護するために自分の仕事を辞める「介護離職」をする人が1年間に10万6000人(2022年)います。男女ともに55~59歳の割合が高く、介護する人にとっても、社会にとっても大きな損失です。   

高齢者介護・保護の責任は市町村   
スウェーデンでは、親を介護する義務は法律になく、親の介護は「完全なる子どもの自由意思」です。また、「社会福祉法」には、「高齢者介護・保護は社会福祉を担う市町村の責任で行われる」とあり、家族はその責任を求められません。しかし、病気の子どもは親にケアされる権利があり、親は社会保障費をもらって入院中の子どもに付き添います。      

高齢者の介護義務に関する両国の法律は正反対です。日本では、保護する責任のある者が保護を怠れば犯罪になりますが、スウェーデンでは高齢者介護・保護は社会福祉を担う市町村の責任です。そのため、日本の法律は介護離職の要因になりますが、スウェーデンの法律は介護の犠牲者を生みません。日本の法制度は見直す必要があるのではないでしょうか。   

国によって、高齢者介護のあり方と高齢者の心構えがこんなにも違うことに驚きます。超高齢社会を上手に乗り越えるために、日本は発想の転換が必要かもしれません。(宮本)
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