無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2026年07月

横浜市身元引受サービス連携













横浜市が全国初の「事業者リスト公表制度」を開始。社会福祉法改正後の新しい潮流とは

2026年7月28日、横浜市は「身寄りのない高齢者を支援する民間サービス」に対し、市独自の基準を満たす事業者を選定し、連携協定を締結した上でリストとして公表する制度を開始したと発表しました。 この取り組みは全国的にも珍しく、行政が民間の身元保証・終身サポート事業者を公式に評価し、連携するという点で大きな転換点となります。

背景には、国が6月19日に成立させた改正社会福祉法があります。これにより、身寄りのない高齢者への支援が「第二種社会福祉事業」として法定化され、行政と民間が協働して支援体制を整備する方向性が明確になりました。

横浜市の制度は、この国の流れを受けて最も早く具体化したモデルと言えます。

■ 横浜市が導入した「24項目の独自基準」とは

横浜市は、民間の身元保証・終身サポート事業者に対し、国のガイドラインを踏まえつつ、全国初となる独自基準を含む24項目を設定しました。 基準は以下の3つの視点で構成されています。

① 利用者の意思尊重

  • 本人の自己決定の尊重

  • 本人意向の定期的な確認

  • 相談窓口の設置 など

② 適正な契約の確保

  • サービス内容と料金の明確化

  • 寄付・遺贈の受領禁止(全国初)

  • 前払い金の原則禁止(全国初)

  • 利益相反の禁止 など

③ 事業者の信頼性確保

  • 財務状況の健全性

  • 事業継続体制の確保

  • 倒産時の対応方針 など

特に注目すべきは、寄付・遺贈の禁止や前払い金の原則禁止といった、利用者保護を強化する項目です。 これまで民間の身元保証事業は、料金体系や契約内容が事業者ごとに大きく異なり、利用者が比較・判断しづらい状況がありました。横浜市はこの課題に対し、行政が「質の担保」を行うことで、市民が安心して事業者を選べる環境を整えようとしています。

■ 行政が民間事業者と連携する時代へ

横浜市は今回の制度について、次のように説明しています。

「民間事業者での取組を活用しながら、行政と民間が連携して身寄りのない高齢者支援に取り組む必要がある」

これは、従来の行政のスタンスから大きく変化しています。

● これまで

行政は「身元保証は民間の任意サービス」という位置づけで、直接関与することは少なかった。 自治体によっては、民間事業者への警戒感が強く、連携どころか紹介すら控えるケースも多かった。

● 今後

社会福祉法改正により、 身元保証・入院手続き支援・死後事務支援が第二種社会福祉事業として法定化。 行政が民間事業者と協働することが制度上明確に位置付けられた。

横浜市のように、

  • 行政が基準を策定

  • 基準を満たす事業者と連携協定

  • 市民向けにリストを公表 という流れは、今後全国に広がる可能性が極めて高いと考えられます。

■ なぜ行政は民間事業者と連携する方向に進むのか?

① 身寄りのない高齢者が急増している

横浜市の調査では、頼れる親族がいない高齢者は約8.7万人(高齢者の約10人に1人)にのぼるとされています。 全国的にも同様の傾向があり、行政だけでは支援が追いつかない状況です。

② 医療・介護現場が身元保証人を求めている

病院や高齢者施設の9割以上が身元保証人を求めているというデータが示されています。 しかし、家族がいない高齢者はその要件を満たせず、入院・入所が遅れるケースも増えています。

③ 民間事業者の役割が不可欠になった

入院手続き、金銭管理、死後事務など、行政が直接担えない領域を民間事業者が補完してきました。 今回の法改正で、これらの支援が「公的に認められた事業」として整理され、行政が民間と連携しやすくなったのです。

■ 横浜モデルは全国に広がるか?

横浜市は、

  • 事業者公募(7〜9月)

  • 事業者選定(10〜11月)

  • 連携協定締結(12月)

  • リスト公開(12月下旬) というスケジュールを示しています。

この流れは、他自治体にとって「参考モデル」となる可能性が高いです。

● 行政側のメリット

  • 信頼できる事業者を市民に紹介できる

  • 医療・介護現場の入院拒否問題を緩和

  • 高齢者支援の質を底上げできる

● 民間事業者側のメリット

  • 行政との連携による信用向上

  • 市民からの相談増加

  • 事業の透明性向上によるトラブル減少

● 市民側のメリット

  • 安心して事業者を選べる

  • 料金や契約内容の不透明さが解消

  • 悪質事業者を避けられる

■ 今後予測される全国的な動き

横浜市の制度は、今後以下のような全国的な流れを生むと考えられます。

① 各自治体が「事業者リスト制度」を導入

横浜市の成功事例を参考に、政令市や中核市が同様の制度を導入する可能性が高い。

② 医療・介護機関が行政のリストを参照

入院時の身元保証問題を解決するため、病院が行政の公表リストを案内する流れが生まれる。

③ 民間事業者の質の底上げ

行政基準に合わせるため、事業者が契約内容や料金体系を改善する動きが広がる。

④ 身元保証・死後事務が「公的に認められた民間サービス」として定着

これまでグレーとされてきた領域が、法的に整理され、社会的認知が進む。

■ まとめ:行政×民間の協働が「新しい高齢者支援モデル」になる

横浜市の取り組みは、 「行政が民間の身元保証・終身サポート事業者と連携する時代」の幕開けと言えます。

社会福祉法改正により、身寄りのない高齢者支援は公的な社会福祉事業として位置付けられました。 その中で、行政が民間事業者を評価し、連携し、市民に紹介する仕組みは、今後全国に広がる可能性が極めて高いです。

高齢者の単身化が進む日本において、 行政と民間が協働して支援体制を構築することは不可欠です。

横浜市モデルは、その先駆けとして大きな意味を持つ取り組みと言えるでしょう。

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シャドーワークが正式な社会資源となる













社会福祉法改正で変わる高齢者支援 ― 「シャドーワーク」が正式な社会資源となる時代へ

近年、「身寄りのない高齢者」の増加は、介護・医療・福祉の現場における大きな課題となっています。

訪問介護事業所や居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)の皆様は、本来の介護保険サービスだけでは解決できない多くの支援を、これまで善意と使命感によって担ってこられました。

例えば、

・買い物や生活用品の手配
・病院への付き添い
・役所での各種手続き
・金融機関での手続きやお金の引き出しの補助
・緊急連絡先としての対応
・入退院時の支援

など、本来は介護保険制度の対象ではない「保険外サービス」が日常的に行われています。

こうした業務は近年、「シャドーワーク(見えない仕事)」と呼ばれるようになりました。

しかし、このシャドーワークは利用者の生活を支えるためには欠かせない仕事でありながら、十分な評価や報酬を得られないまま、現場の負担だけが増え続けてきました。

社会福祉法改正が示した新しい方向性

今回の社会福祉法改正では、「頼れる身寄りがない高齢者等」に対する日常生活支援や入退院支援、死後事務などを行う事業が第二種社会福祉事業として位置付けられる方向性が示されました。

これは単に制度が変わるというだけではありません。

これまで現場が「仕方なく」「無償で」対応してきた支援を、社会全体で支えるべき重要な福祉サービスとして位置付けようとする大きな転換点であると考えています。

もちろん、今後の省令やガイドラインで具体的な運用は明らかになりますが、国が「介護保険だけでは高齢者の生活は支えきれない」という現実を制度として認識し始めたことには、大きな意味があります。

第一層と第二層という役割分担

私は、これからの高齢者支援は次のような二層構造で考えると分かりやすいのではないかと考えています。

第一層 生活支援を担う社会福祉サービス

訪問介護事業所、居宅介護支援事業所、社会福祉法人、地域包括支援センターなどが中心となり、

・買い物支援
・通院同行
・入退院支援
・各種手続きの支援
・見守り
・日常生活のサポート

などを担う領域です。

これまでシャドーワークと呼ばれてきた業務が、この第一層のサービスとして制度化されていく可能性があります。

第二層 専門的な契約サービス

一方で、

・身元引受
・身元保証
・財産管理
・死後事務委任
・相続支援
・不動産処分
・残置物処理

などは、契約に基づく高度な専門サービスです。

これらは専門的な知識、リスク管理、契約管理が必要であり、今後も民間事業者が担う重要な役割であると考えています。

つまり、「生活支援」と「契約支援」は対立するものではなく、それぞれが補完し合う関係にあります。

介護事業者との連携がこれからの鍵

介護事業者の皆様が日常生活支援を担い、その中で身元保証や財産管理、死後事務など専門的な支援が必要になった際には、専門機関へ円滑につなぐ仕組みが求められます。

私たち一般社団法人ロングライフサポート協会は、その専門機関として全国の介護事業者、病院、地域包括支援センター、施設紹介会社などと連携し、第一層では対応が難しい案件を安心してお任せいただける体制づくりを進めています。

介護事業者が専門外の業務まで抱え込む必要はありません。

それぞれの専門性を尊重しながら連携することで、利用者にとって最適な支援体制を構築することができます。

同一法人でも連携は可能

「介護保険サービスと保険外サービスを同じ法人で行ってもよいのか」というご質問をいただくことがあります。

私は、適切な業務区分がなされていれば十分可能だと考えています。

ただし、

・担当者の区分
・契約の区分
・会計の区分
・業務記録の区分
・苦情対応体制

などを明確に分けることが重要です。

これは利用者を守るためであると同時に、事業者自身を守るためでもあります。

「競争」ではなく「協働」の時代へ

身寄りのない高齢者は今後さらに増加していきます。

一つの事業者だけで全ての課題を解決することは困難です。

だからこそ、介護・医療・福祉・行政・民間企業がそれぞれの専門性を生かしながら連携する時代が始まろうとしています。

私たちは、身元引受事業を単なる民間サービスとは考えていません。

高齢者が安心して暮らし続けられる社会を支える「社会インフラ」の一つであると考えています。

介護事業者の皆様が安心して利用者をご紹介いただける専門機関として、また共に地域を支えるパートナーとして、今後も全国の皆様との連携を広げてまいります。

超高齢社会の課題は、一つの組織だけでは解決できません。

だからこそ、専門性を持つ者同士が役割を分担し、つながり合うことで、誰一人「身寄りがないこと」を理由に必要な支援を受けられない社会をつくらなければなりません。

これからは「競争」の時代ではなく、「協働」の時代です。

私たちは、その新しい地域包括支援の仕組みづくりに、介護・医療・福祉の皆様とともに挑戦していきたいと考えています。

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制度開設シリーズ③










【制度解説シリーズ③】社会福祉法改正でケアマネジャーは保険外事業に参入しやすくなるのか? ~利益相反と地域連携の視点から考える~

社会福祉法改正をめぐり、最近よくいただく質問があります。

「今回の改正で、ケアマネジャーや介護事業者は保険外サービスを自由に提供できるようになるのでしょうか。」

「利益相反の問題は解消されたのでしょうか。」

身元保証や死後事務、生活支援などの保険外サービスへの関心が高まる中、多くの介護事業者やケアマネジャーが制度の方向性に注目しています。

そこで今回は、現時点で公表されている法案や厚生労働省の概要資料をもとに、この点について整理してみたいと思います。

今回の改正の柱は何か

まず押さえておきたいのは、今回の社会福祉法改正の目的です。

公表されている資料を見る限り、改正の中心となっているのは次の三つです。

・地域における包括的な支援体制の充実
・福祉人材の確保・定着(更新研修の見直し等を含む)
・地域福祉を支える基盤の強化

つまり、高齢者や生活困窮者、身寄りのない方などを地域全体で支える仕組みづくりが主なテーマとなっています。

一方で、「ケアマネジャーが利益相反を気にすることなく保険外事業を販売・提供できるようになる」といった趣旨の規定は、少なくとも現時点で公表されている概要資料には明記されていません。

利益相反の考え方は変わったのか

私は、現時点では「大きく変わったとは読み取れない」と考えています。

ケアマネジャーは、利用者の立場に立って最適なサービスを中立・公正に選択することが本来の役割です。

そのため、自らが所属する法人の保険外サービスを積極的に販売・契約する場合には、

「利用者に本当に必要だから勧めているのか」

それとも

「法人の収益を増やすために勧めているのか」

という利益相反の問題が生じる可能性があります。

この考え方は、介護保険制度の信頼性を支える基本原則であり、今回の社会福祉法改正によって変更されたとまでは読み取れません。

保険外サービスが不要という意味ではない

もちろん、これは保険外サービスの必要性を否定するものではありません。

むしろ現場では、

・身元保証人がいない
・財産管理に困っている
・死後の手続きをお願いしたい
・入院時や施設入所時の支援が必要

といった相談は年々増えています。

これらは介護保険サービスだけでは対応できない課題です。

つまり、保険外サービスそのものの重要性は今後さらに高まっていくと考えられます。

では、介護事業者はどう対応すべきか

現実的には、自らすべてを受託するよりも、専門機関との連携を進めることが重要になるでしょう。

例えば、

・身元引受
・身元保証
・財産管理
・死後事務委任

といった専門性と契約責任を伴う分野については、それぞれの専門事業者へつなぐ仕組みを整備することが、利用者にとっても安心につながります。

介護事業者は利用者の日常生活を最も身近で支える存在であり、課題を最初に発見することができます。

一方、契約に基づき長期的な責任を負うサービスは、その分野に精通した専門機関が担う。

この役割分担は、利用者にとっても合理的な仕組みと言えるでしょう。

ケアマネジャーに求められる役割は「販売」ではなく「コーディネート」

今回の制度改正を見て私が強く感じるのは、ケアマネジャーの役割は「保険外サービスを販売すること」ではなく、「地域の資源をつなぐこと」にあるという点です。

利用者の生活課題を把握し、

「この課題は誰が支援するのが最も適切か」

を判断し、地域の専門機関へつなぐ。

このコーディネート機能こそが、今後ますます重要になっていくのではないでしょうか。

地域包括ケアは「連携」の時代へ

社会福祉協議会には地域福祉を支える役割があります。

地域包括支援センターには総合相談機能があります。

病院の医療ソーシャルワーカーには医療との連携があります。

ケアマネジャーには介護支援の専門性があります。

そして、

・包括型身元引受
・財産管理
・死後事務委任
・契約に基づく継続支援

などは、専門事業者が担う領域です。

これから求められるのは、それぞれが同じ仕事をすることではなく、それぞれの専門性を生かして連携することです。

「競争」から「共創」へ

高齢者を取り巻く課題は、医療、介護、福祉だけでは解決できません。

住まい、財産管理、契約支援、死後事務など、多くの課題が複雑に重なり合っています。

だからこそ、制度改正を「新たな競争の始まり」と捉えるのではなく、「地域で支え合う新たな連携のスタート」と考えることが重要ではないでしょうか。

現時点で公表されている資料を見る限り、今回の社会福祉法改正は、介護事業者が自由に保険外サービスを販売できるようにする制度ではなく、それぞれの専門性を生かした地域連携を強化する制度として理解することが最も自然だと考えられます。

私たち一般社団法人ロングライフサポート協会も、社会福祉協議会、地域包括支援センター、ケアマネジャー、病院、介護事業者、行政と連携しながら、公的制度だけでは対応が難しい「包括型身元引受」の分野を担う社会インフラとして、地域包括ケアの一翼を担ってまいります。

誰一人、必要な支援から取り残されない地域社会を実現するために、それぞれの専門性を尊重し、競争ではなく「共創」の視点で支援の輪を広げていきたいと考えています。

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社会福祉法改正で身元保証はどうなるのか?













社会福祉法改正で身元保証はどうなるのか? ~「二階建て構造」から読み解く公的支援と民間サービスの役割~

現在、社会福祉法改正に伴う第2種社会福祉事業の見直しについて、多くの関係者が「社会福祉協議会が身元保証まで担うようになるのではないか」「民間の身元保証事業はどうなるのか」と疑問を抱いています。

社会福祉協議会の皆様、病院の医療ソーシャルワーカー、地域包括支援センター、介護事業者、さらには民間の身元保証事業者まで、制度の解釈に迷われているのが現状ではないでしょうか。

そこで今回は、現時点で公表されている法案や検討会資料、厚生労働省の資料を踏まえ、今回の制度改正がどのような構造を目指しているのかを整理してみたいと思います。

見えてきたのは「二階建て」の制度構造

現時点の資料を読み込む限り、今回の制度は「二階建て」の構造として理解すると非常に分かりやすくなります。

第一層は公的セーフティネット

第1層では、社会福祉協議会などが担う第2種社会福祉事業が位置付けられます。

対象となるのは、

・身寄りがない方
・生活に困窮している方
・判断能力の低下により支援を必要とする方
・地域に頼れる人がいない方

など、福祉的支援を必要とする方々です。

ここで想定される支援は、

・相談支援
・入退院・入退所の手続き支援
・緊急連絡体制の整備
・見守り
・死後事務に関する支援
・関係機関との調整

など、「生活を支えるための福祉サービス」です。

第二層は民間による契約サービス

一方で、一定の資力があり、自ら契約により包括的な支援を希望する方については、これまでどおり民間サービスが担うという構造が見えてきます。

具体的には、

・身元引受
・身元保証
・財産管理
・日常生活支援
・死後事務委任
・継続的な生活支援

など、契約に基づき長期間にわたり責任を持って支援するサービスです。

つまり、公的制度と民間サービスは競合するのではなく、それぞれ異なる役割を担う「補完関係」にあると理解できます。

なぜ「身元保証」が制度に入っていないのか

今回の改正で最も注目すべき点は、「身元保証」が制度の対象として明示されていないことです。

もし政府が身元保証を公的制度として位置付けようとしているのであれば、法律や制度設計の中に「保証」という考え方が盛り込まれているはずです。

しかし、現時点で公表されている資料からは、そのような方向性は確認できません。

むしろ厚生労働省は、「身元保証人がいないことのみを理由として、医療や介護サービスの提供を拒否すべきではない」という考え方を繰り返し示しています。

つまり、制度の目的は保証人制度を公的に拡大することではなく、「保証人がいなくても必要な支援を受けられる社会」を目指すことにあると読み取れます。

民間身元保証事業の法的位置付けは変わったのか

この点についても、多くの方が関心を寄せています。

結論から申し上げれば、現時点で公表されている資料からは、今回の改正が民間身元保証事業に新たな法的根拠を与えるものとは読み取れません。

社会福祉法は福祉サービスを制度化する法律であり、民間の身元保証事業そのものを制度化する法律ではないからです。

したがって、

・包括型身元引受
・身元保証
・財産管理
・死後事務委任
・長期的な生活支援

といった民間サービスは、今回創設される第2種社会福祉事業とは別の領域に位置付けられる可能性が高いと考えられます。

むしろ役割分担はより明確になった

今回の制度改正は、民間事業者にとって逆風と受け止められることもあります。

しかし私は、むしろ公的機関と民間事業者、それぞれの役割がより明確になったと考えています。

社会福祉協議会は、

・相談支援
・地域との調整
・生活支援
・福祉サービスの提供

を担います。

一方で、

・身元保証
・契約に基づく包括的な身元引受
・財産管理
・死後事務委任
・継続的な契約責任

については、引き続き民間の専門事業者が担う領域と考えられます。

これから必要なのは「競争」ではなく「連携」

高齢化が進み、身寄りのない高齢者が増加する中で、一つの組織だけですべての課題を解決することはできません。

社会福祉協議会には、公的機関としての強みがあります。

民間事業者には、契約に基づき長期的な責任を担えるという強みがあります。

重要なのは、「どちらが担うか」を議論することではなく、「どのように連携すれば、誰一人取り残さない支援体制を築けるか」を考えることではないでしょうか。

今回の制度改正は、公的支援と民間サービスの境界線を明確にし、それぞれが専門性を生かして連携する時代の始まりとも言えます。

制度の詳細は今後の通知や運用によってさらに明らかになっていくでしょう。しかし現時点で確認できる資料を踏まえる限り、公的セーフティネットと民間の包括型身元引受が、それぞれの役割を果たしながら支え合う「二階建て構造」として理解することが、最も実態に近いのではないでしょうか。

私たち一般社団法人ロングライフサポート協会も、社会福祉協議会や地域包括支援センター、病院、介護事業者、行政など地域の関係機関と連携し、公的制度では担いきれない領域を補完する社会インフラとして、これからも安心して暮らせる地域社会づくりに貢献してまいります。

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社会福祉法改正で身元保証はどう変わるのか?













社会福祉法改正で身元保証はどう変わるのか? ~公的支援と民間身元引受の役割を考える~

近年、「身寄りのない高齢者」の増加を背景に、社会福祉法の改正や厚生労働省の制度見直しが進められています。社会福祉協議会(社協)が行う第2種社会福祉事業の充実もその一つであり、「これからは社協が身元保証まで担うようになるのではないか」という声を耳にすることがあります。

しかし、制度の内容を丁寧に見ていくと、その答えは「いいえ」です。

社協が担うのは「生活支援」の拡充

今回の制度の方向性は、身寄りのない方が地域で安心して暮らし続けられるよう、社会福祉協議会などが相談支援や生活支援を充実させることにあります。

例えば、

・入院・入所時の各種手続きの支援
・緊急連絡先の調整
・日常生活上の相談支援
・死後事務に関する相談や関係機関との調整
・地域での見守りや生活支援

などが想定されています。

これらは、高齢者が安心して生活を続けるために欠かせない重要な支援です。

一方で「保証」は制度の対象ではない

ここで誤解してはならないのが、「支援」と「保証」は全く異なるという点です。

例えば、

・病院の入院保証人
・介護施設の身元保証人
・賃貸住宅の連帯保証人
・利用料や損害賠償に関する保証

これらは民法上の保証契約であり、社会福祉法が予定している第2種社会福祉事業の範囲には含まれていません。

つまり、社協が病院や施設に対して法的責任を負う「保証人」になることは制度上想定されていないのです。

医療同意も保証人の役割ではない

もう一つ誤解されやすいのが医療同意です。

「保証人がいれば手術の同意もできる」と思われがちですが、実際にはそうではありません。

医療に関する意思決定は、本人の意思を最優先に考え、本人の意思が確認できない場合には、本人の価値観やこれまでの意思表示を尊重しながら医療チームが慎重に判断する仕組みとなっています。

保証人だからといって医療上の意思決定権を持つわけではありません。

そのため、社協が医療同意者になることも予定されていません。

死後事務も「支援」と「受任」は異なる

近年は死後事務への関心も高まっています。

社協では、火葬や関係機関との連絡、必要な調整などを支援することが期待されています。

しかし、契約に基づいて死後事務委任契約を受任し、継続的に業務を遂行することとは意味が異なります。

ここにも、公的支援と民間契約との明確な違いがあります。

公的支援と民間サービスは競合ではない

制度全体を見ると、それぞれの役割は次のように整理できます。

・社会福祉協議会は相談・生活支援・地域調整
・地域包括支援センターは総合相談とコーディネート
・病院の医療ソーシャルワーカーは医療連携
・ケアマネジャーは介護支援

そして、

・身元保証
・入院・施設入所時の保証
・賃貸保証
・契約に基づく死後事務
・継続的な財産管理
・包括的な身元引受

といった分野は、公的制度だけでは十分に担うことが難しい領域です。

だからこそ、民間の専門事業者が適正な契約と透明性の高い運営のもとで役割を果たす意義があります。

これから求められるのは「役割分担」と「連携」

高齢化が進み、身寄りのない高齢者が増え続ける中で、一つの組織だけで全ての課題を解決することはできません。

公的支援には公的支援の強みがあり、民間には民間だからこそ担える役割があります。

重要なのは、「どちらが担うか」ではなく、「誰一人取り残さないために、どのように連携するか」という視点です。

私たち一般社団法人ロングライフサポート協会は、これまで培ってきた包括型身元引受の経験を生かし、社会福祉協議会や地域包括支援センター、病院、介護事業者、行政など地域の関係機関と連携しながら、公的制度では担いきれない領域を補完する社会インフラとしての役割を果たしていきたいと考えています。

身寄りのないことを理由に、必要な医療や介護、住まいを諦める人が一人でも減る社会。その実現に向けて、公的支援と民間サービスがそれぞれの強みを生かし、支え合う仕組みづくりが今後ますます重要になるでしょう。

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