認知症ケアの最も大切な鍵(その人はどう生きたかをきっかけに)

尊敬する三重県の脳神経外科医師の笠間睦 (かさま・あつし)先生の見出しの内容の報告が2014年1月25日、朝日新聞の医療サイトに紹介されています。大変興味深い内容ですので是非皆様にご紹介しておきたいと思います。http://apital.asahi.com/article/kasama/2014010900014.html

認知症ケアのカギを握るのは入所から2週間以内にすべての患者がライフストーリーを持てるようにすると述べられています。
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■シリーズ第160回『認知症のケア─「医療情報の海」に溺れないで』において、「認知症が進みゆく現実があっても利用者本位の支えをしていくためには、認知症の初期段階でつかんだ本人の意思や本人固有の生活に関する情報やアセスメント・ケアプランを、関係者がその後にバトンタッチしていくことが、認知症ケアのもっとも大切な鍵」(永田久美子:認知症介護実践研修テキストシリーズ1 第2版・新しい認知症介護─実践者編─ 認知症介護研究・研修東京センター監修・発行, 中央法規, 東京, 2006, pp184-194)であることをご紹介しましたね。

■スコットランドのスターリング大学認知症サービス開発センター研究員であるマルコム・ゴールドスミス(Malcolm Goldsmith)が書いた著書においても同様の指摘がなされております(マルコム・ゴールドスミス:私の声が聞こえますか─認知症がある人とのコミュニケーションの可能性を探る 高橋誠一/監訳 寺田真理子/訳 雲母書房, 東京, 2008, pp175-176)。

「このユニットにおける目標の1つは、入所から2週間以内にすべての患者がライフストーリー(個人の人生を描こうという個別のアプローチで、通常は何らかの物理的な結果が生まれます。通常はアルバムなどです。ただし、必ずしも物理的な成果物は必要ありません)をもてるようにすることです。

これを用いて家族とスタッフの、そして患者とスタッフの間のコミュニケーションの改善を支援します。できればこれを次のケアの場所(老人ホーム等)にも引き継ぎたいのです。そうすることで認知症がある人のケアの継続性が可能になり、病院と地域社会の関係を強めることもできるのではないかと期待しています。」(一部改変)