福祉施設の構造的な問題














 24年度の介護報酬改定では訪問系が引き下げられ、施設系が引き上げとなった。その理由としては特養ホームと老健がマイナスに転じ、介護医療院はわずかながらプラスとはなったものの、対2021年度決算からマイナス4.8%の下落と、施設系サービスの経営状況は極めて厳しくなっているので、こちらは引き上げざるをえないという論法です。   

介護老人福祉施設(特養)と介護老人保健施設(老健)、特定施設入居者生活介護(特定施設)の3つの施設の収益構造をみればその体質は歴然としています。   

収益差は介護老人福祉施設-1.0 介護老人保健施設で-1.1% 特定施設入居者生活介護では2.9%、これをもって訪問系よりも収益差が減少しているのでプラス改定をするということです。

介護老人福祉施設で売上高に占める給与比率が令和4年度で65.2%、介護老人保健施設で64.2%と高く 特定施設入居者生活介護では43.3%となっています。圧倒的に特養、老健の人件費率が高いのです。一般企業で人件費比率が60%を超えて利益がでるはずがないのです。   

常勤換算職員1人当たり給与費を見てみれば特養でで391,261円/月  老健401,013円/月、特定施設入居者生活介護で362,437円/月となっています。人件費が高いのは介護事業にとっては望ましいのですが、経営はあくまでも収支バランスです。継続した事業を展開するのに利益は存続経費として一定額が必要なのですが、現在の特養、老健は現状ではその存続価値が問われているのではないでしょうか。それ故に、収益を介護報酬を挙げることで存続をさせるというのは、あまりに場当たり的ではないでしょうか。   

特養入所の利用率は従来型が93.7%(同94.2%)、ユニット型が93.8%(同94.4%)とともに低下しています。全老健施設の入所者の状況調査の結果(1122施設)をみると、稼働率は全体平均で86.2%となった。平川副会長は「これまでの経営実態調査をみても稼働率は94%を超えていないと維持できない。95%を超えないと新しい施設整備や投資ができないという。特養、老健共に利用率が低下しているのも経営悪化の要因の一つである」とのべておられます。   

何故、特養・老健の稼働率が低下しているのかを考える必要があります。   

又、第3期から第8期の介護保険事業計画の施設・居住系サービスの計画値と実績値、達成率を見ると、第8期計画値は、過去最低の10.1万人に減少しており、第8期計画2年目の達成率は37.3%に留まっているということも見逃せません。   

介護保険制度が始まって24年、従来の福祉施設にプラスして様々な高齢者施設が増加し、今や、その数を凌駕するところまできています。即ち競争の激化に、従来の福祉施設の競争力が低下していることが考えられます。しかし、高い設備費用と人件費の構造は変わらず、収益が低下したという構造的問題があるのではないでしょうか。   

この問題にメスを入れずに赤字だから報酬改定で上乗せするという安易な考えで、この問題は解決するはずがありません。