日本の人権意識の低さ














 今や高齢者が生活保護になることに抵抗のある人は極めて少なくなりつつあります。そのことを表す調査が行われています。独立行政法人経済産業研究所が2023年に行った調査で、その実態が伺えます。年金だけでは生活できない多くの高齢者が増え、既に全生活保護受給者の過半数を超えています。恐らく、今後も増え続けるであろうと思われます。本研究の新たな発見は、生活保護の受給は65歳以上の高齢者の生活満足度に影響を与えないということです。恐らく格差社会の拡大によって、今後、生活保護受給に対する考え方が大きく変わってくるでしょう。桐生市のように行政が生活保護申請をガードするような時代ではないのです。日本の人権意識の低さは世界でも群を抜いていることを我々は自覚しなければなりません。

結果は以下のとおりです。   
(1) 65歳以上について、生活保護受給の状況は生活満足度に影響を与えない。   
(2) 64歳以下について、先行研究と同様に、生活保護の受給状況は生活満足度にマイナスの影響を   与える傾向がある。   
(3) 性別による生活保護受給の影響の違いは見られない。   
(4) 地域による違いについて、先行研究と同様に、仙台市や足立区のような生活保護受給者の人口に対する割合の低い地域ほど、生活保護の受給は生活満足度にマイナスの影響を与える傾向にある。   

今、ニッポンの生活保護制度 はどうなっているの?(日本弁護士連合会)
日本の生活保護利用率は、先進諸外国とくらべると極めて低い数字にとどまっています。むしろ、数百万人が保護から漏れています。日本では人口の1.6%しか生活保護を利用しておらず、先進諸外国よりもかなり低い利用率です。しかも、生活保護を利用する資格のある人のうち現に利用している人の割合(捕捉率)は2割程度にすぎません。残りの8割、数百万人もの人が生活保護から漏れているのです。

仮に日本の捕捉率をドイツ並みに引き上げると、利用者は717万人になります。2012年に入ってから全国で起きている「餓死」「孤立死」事件発生の背景には、生活保護の利用率・捕捉率の低さが影響していると考えられます。
生活保護の世界の捕捉率

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生活保護の受給が幸福度に与える影響:日本の高齢者による検証 
RIETI 独立行政法人経済産業研究所 
 日本における生活保護制度は、経済的に困窮している人々に対して国の責任において最低限の生活を保障する、いわば最後のセーフティーネットとして機能している制度である。しかし、日本では生活保護基準よりも低い収入しか得ていない世帯のうち、実際に生活保護を受給している割合は、先行研究によると16%から20%程度でイギリス、アメリカ、ドイツなどの他の先進諸国と比較すると低い状況にある。このため、日本では生活保護が必要な人々に十分に行き渡っていないとも指摘される。   

日本の生活保護受給者の人口に対する割合は1%程度であり、多くの人々が生活保護を受給しない状況となっている。生活保護を受給しない理由の一つとして考えられるのが、「福祉のスティグマ(恥、不名誉な烙印)」である。これは、生活保護を受給すること自体が幸福度を下げる可能性があるもので、こうした傾向は海外の先行研究から明らかになっている。しかし、海外の先行研究は、失業を文脈とした、働ける年齢層に主眼を置いたものであり、働くことが難しい(難しくなりつつある)高齢者に着目した研究は行われていない。また、海外の状況は明らかになりつつある一方、日本の状況は明らかにされていない。本研究では、日本の状況について、65歳以上の高齢者に焦点を当て、生活保護の受給が幸福度に与える影響について検証した。