
3.なぜ国は根本対策を打ちにくいのか
以下の要因が考えられます。
■ 財源制約
抜本改革は給付拡大や人員増を伴い、財源問題に直結します。
■ 有権者構造
高齢者は最大の有権者層。
負担増や給付削減は政治的に極めて困難。
■ 制度疲労の認識不足
「崩壊」という言葉を使うと制度不信につながるため、
危機表現が弱くなる。
■ 縦割り行政
介護、生活保護、地域福祉、後見制度、住宅政策が分断。
4. マスコミの責任について
マスコミ、とりわけ経済紙である 日本経済新聞 は、
- 速報性
- 政策動向
- 会議資料の整理
に重点が置かれます。
構造批判や制度哲学まで踏み込む論説は紙面制約上少ない傾向があります。
ただし、本来であれば、
- なぜシャドーワークが生じるのか
- なぜ受験者が減るのか
- 制度設計のどこが限界か
まで掘り下げるべきなのですが、残念ながら国に遠慮して追求をしません。
メディアが“政策発表の伝達者”にとどまると、社会的議論は深まりません。
5.本当の根本問題は何か
核心はここからです。
介護保険は「身体介護中心モデル」のまま、
生活困窮・孤立・認知症社会に対応できていない。
つまり、
- 医療モデルから生活モデルへの転換不足
- 生活支援の制度的担保が弱い
- 家族消滅社会への制度設計が未完
です。
この点は、我々が展開している
身元引受・金銭管理・死後事務まで含めた包括支援モデルが
制度の穴を補完していることからも、現場はすでに答えを出し始めていると言えます。
6.このまま進むとどうなるか
- ケアマネ不足 → 受け皿縮小
- 重度者集中 → 事業所疲弊
- 不適切ケア増加
- 介護離職増
- 地域包括の機能不全
介護保険は静かに機能不全化する可能性があります。
7. では何が必要か
抜本的には、
①ケアマネ業務の再定義(生活調整機能の制度化)
②シャドーワークの公的評価と報酬化
③地域単位の生活支援専門職の創設
④身元保証・金銭管理・後見との制度的接続
⑤財源議論の正面化
「運用改善」ではなく
制度哲学の再設計が必要な段階に来ています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最後に
我々はこの問題に対して批判ではなく、
「制度崩壊の予兆」に対する危機感を強く感じています。
本当に問われているのは、
誰が“生活”の責任を引き受けるのかという社会の根幹です。
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