無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

カテゴリ: 単身社会

首都圏の医療と介護は今や大きな変化を迎えています。一時期増加した施設開発の増加に伴う施設入居比率も、今や、施設開発の鈍化、介護人材不足の影響で施設の入居比率は鈍化し、その代わりに在宅で介護を受ける比率が増加傾向に拍車がかかります。独居高齢者の施設・病院を住まいとしている方々の比率や約5%に過ぎません。

「施設に入りたくても入れない」状況と「在宅への強制的な流れ」について現在の社会情勢、東京都および埼玉県の独居高齢者(65歳以上の単身世帯)における持ち家比率と軒数について、総務省の最新の統計調査(令和5年 住宅・土地統計調査)および直近の確定データに基づいた数値を検証してみました。

持ち家比率は埼玉県の方が高く、軒数(世帯数)は東京都の方が圧倒的に多いという結果になっています。


東京都と埼玉県の独居高齢者の持ち家状況

項目

東京都

埼玉県

独居高齢者の総数

92.3万世帯

45.2万世帯

持ち家比率

51.2%

65.8%

持ち家の軒数(推計)

47.3万軒

29.7万軒

数値は「令和5年住宅・土地統計調査」および「令和2年国勢調査」を基にした算出・推計値です。

独居高齢者は東京都で約51.2%,埼玉県で65.8%の持ち家で暮らしていることになります。いずれ、売却や空き家候補と言えます。

次に東京都と埼玉県の独居高齢者のうち、施設入居者の比率は何パーセントと推計されるかも調べてみました。

東京都と埼玉県の独居高齢者における「施設入居者」の比率について、国勢調査等の統計データに基づいた推計値をご案内します。

統計上、施設に入居している高齢者は「一般世帯(自宅住まい)」ではなく、「施設等の世帯」として分類されます。そのため、自宅で一人暮らしをしている「独居高齢者」とは別にカウントされますが、全65歳以上人口に占める割合として算出するのが一般的です。


施設入居者の比率(推計値)

65歳以上の高齢者人口全体のうち、老人ホームや介護施設などの施設(病院を含む)に入居・入院している人の割合は以下の通りです。その数は約5%に過ぎないのです。

地域

施設入居者の比率(推計)

施設入居者の数(概数)

東京都

4.8% 5.2%

16万 〜 17万人

埼玉県

4.5% 4.9%

9万 〜 10万人

「令和2年国勢調査」および厚生労働省の「介護保険事業状況報告」などを基に推計。「施設」には、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホーム、介護老人保健施設、および病院の長期入院患者を含みます。



地域別の特徴と傾向

1. 東京都:施設数は多いが、在宅支援も充実

東京都は施設数そのものは全国最多ですが、地価が高いため入居費用が高額になりがちです。そのため、施設に入るよりも「住み慣れた自宅で、訪問介護などのサービスを利用しながら一人暮らしを続ける」独居高齢者が多いのが特徴です。

2. 埼玉県:施設整備が急速に進む地域

埼玉県は、かつて全国で最も高齢化のスピードが速いとされてきました。そのため、近年急速に有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の整備が進みました。東京都に比べると、郊外型の大規模な施設が多く、比率としては東京都とほぼ同水準、あるいはわずかに低い傾向にあります。


全体の構造

1.独居高齢者(自宅住まい)と施設入居者の関係を整理すると以下のようになります。

  1. 自宅住まい(独居): 25%30%(高齢者の約4人に1人が一人暮らし)
  2. 自宅住まい(家族と同居): 65%70%
  3. 施設・病院住まい: 5%

    このように、実際には「施設に入っている人」よりも「自宅で一人暮らしをしている人」の方が圧倒的に多く(約5〜6倍)、社会全体での見守りや在宅介護サービスの重要性が高まっています。

2.今後の首都圏の介護の実態とは?
「施設難民」と在宅の限界 独居高齢者が増え続ける一方で、受け皿となる施設の伸びが建築コストの増加と人員不足で鈍化すれば、当然「施設に入れない高齢者」は増加します。

• 特養の待機者問題: 依然として要介護3以上の重度者が優先されるため、比較的元気だが独居に不安がある層(要介護1〜2など)の行き場がなくなっています。
• 「隠れ待機者」の増加: 経済的な理由から高額な民間施設には入れず、かといって公的施設は空きがないため、やむを得ず在宅に留まっている「潜在的な待機者」が急増しています。

・「施設から在宅へ」の加速:危惧される点 国は政策として「施設から在宅へ」という方針を掲げていますが、これが事実上、独居高齢者にとって「在宅への追い出し」に近い形になっている側面は否定できません。

• 地域包括ケアシステムの現実: 住み慣れた地域で暮らすという理念の一方で、独居の場合、急変時の対応や24時間の見守りを「地域のボランティアや見守りサービス」だけでカバーするのは限界に来ています。
• 在宅の限界点の低下: かつては家族が担っていた「24時間の見守り」や「家事援助」をすべて外部サービスに頼らざるを得ず、利用限度額(支給限度額)を超えてしまうため、在宅生活を維持できないケースが増えています。
• 「独居×認知症」の増加: 独居で認知症を患う方が増えており、火の不始末や徘徊などのリスクを抱えながら、施設が見つかるまで在宅で凌いでいる危うい状況が加速しています。


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身寄りの無い高齢者行政負担














自治体が「身寄りの無い高齢者の生活支援」の支援をどの程度行っているのか初めての実態調査ではないでしょうか。これまでケアマネのシャドーワーク等が話題になって、その実態調査の解明が求められていましたが、行政も動き始めたようです。   

その調査によれば、「公的な手続き以外にもニーズが多岐にわたることから自治体などのほうがより負担を感じていることが明らかになりました」と報告されていますが、自治体の方がより負担を感じているということはどういうことでしょうか?   

ケアマネと異なり、行政にしか負担が出来ない生活支援とは一体何なのでしょうか?行政も、ケアマネも、そしてソーシャルワーカー、ケアワーカー、皆同じではないでしょうか。家族社会が崩れてくる中で、家族に代わる業務が各組織に振られているという状況に過ぎないのではないでしょうか、即ち身寄りの無い高齢者の生活支援を行政、民間を含めて各団体でシェアしているということかと思います。  

その意味では皆同じ立場にあると思います。行政だけがより負担を感じるというのはおかしな話。行政、ケアマネ、民間事業者等関係者が一堂に会して、対策を協議検討する段階にあります。#身元保証課を行政の窓口に作って欲しいという声に耳を傾けるべきです。行政がリーダーシップを取るべきです。でなければ、行政がこの仕事をやって下さい。
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身寄りのない高齢者の生活支援 自治体の負担明らかに 実態調査 
NHK2024.4.19   
 身寄りのない高齢者の生活支援については、家族に代わって自治体や社会福祉協議会、それに民間の事業者も担っていますが、それぞれどの程度の負担があるのか国が実態を調査したところ、公的な手続き以外にもニーズが多岐にわたることから自治体などのほうがより負担を感じていることが明らかになりました。   

身寄りのない高齢者の増加に伴い、これまで家族が担ってきた身の回りの世話などの支援をケアマネージャーなどが業務外で行っている実態が問題となっている一方で、契約を結んで支援を行う民間の事業者も増えています。   

こうしたなか、国は日本総合研究所に補助を行い全国の自治体や社会福祉協議会、それに高齢者の身元保証などを行う民間の事業者などを対象に、支援を行う際にどの程度の負担があるのか初めて実態を調査しました。   

調査では生前から亡くなったあとまでの30項目について『権限が明確でないため対応が難しい』と回答した割合を比較していて、自治体や社会福祉協議会は「入院の手続き」や「サービス付き高齢者住宅への入居契約」「葬儀」など24項目で事業者を上回りました。   

調査からは介護保険や亡くなったあとの書類作成などの公的な手続き以外の多岐にわたるニーズについて、自治体や社会福祉協議会が利用者と契約関係にある民間の事業者に比べてより負担を感じている傾向が浮かび上がりました。   

日本総合研究所は「これまでは家族が担ってきた支援も含め外部でどう担っていくのかあらためて議論する必要がある」と提言しています。
調査の結果を踏まえ、国は身元保証を行う事業者のガイドラインを作成するなど、対策を進めることにしています。
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現場では複合的な問題を解決するために従来の縦割り的な行政機能では複合化する問題を解決することができない為、関係者の協議の場が必要だと感じている方々が多くいます。   

愛媛県宇和島市では居住支援法人が自主的に立ち上がって、行政と連携をとりながら、居住に関する問題のコーディネートに当たるという体制を作ろうする動きが始まっています。

行政に身元保証課を設置して欲しいというケアマネのXが拡散していますが、行政にもその予算と人材に限界があります。

そこで、行政が主となって、居住支援法人を巻き込んで支援チームを作り、身寄りの無い高齢者の生活支援をしようという試みが始まって来たといえます。

ケアコミュニティ
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東京都孤独死4000人














東京都の23区内で年間高齢者の孤独死が4000人以上という事態に行政も本格的な対応を始めているようだ。東京都監察医務院の統計によると、単身世帯で自宅で亡くなる「孤独死」をした65歳以上の高齢者は、2020年に23区内だけで約4200人に達したという。5年前より1千人以上も増えたという。
その対策の一つとして取り組みが始まっているのが、自治体の終活情報登録事業である。
都内23区内の自治体も徐々にその取り組みを強化してきているが、その取り組みは途に就いたばかり。このレベルでは2025年問題、更に2040年問題はクリアーできない。
行政の限られた人的資源ではこれからおしかける多くの孤独死予備軍の高齢者を救うことはできない。東京都の令和2年の単身高齢者数は81万人、もう間もなく100万人を超えていくであろう。それに地域の自治体は耐えられるのか? 
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高齢者の孤独死、23区だけで年間4千人以上…自治体による終活支援の取り組みとは?研究員「住む場所でサービスに差が出ないよう国にも動いてほしい」YAHOOニュース2024.2.14
 ◆東京都豊島区が23区で初の終活登録を開始しているがまだその数は少ないようだ。登録事業を利用したのは60~90代の18人(2022年10月末現在)。うち12人は女性という。 終活あんしんセンターの運営を受託している豊島区民社会福祉協議会(社協)の天羽瞬一チーフは「ひとり暮らしの高齢者で認知症など支援が必要なケースが最近、増えている。身寄りがなく、区が後見人を申し立てるケースが以前に比べ、増加している」と話す。
 ◆社協による終活支援の広がり 練馬区も同種の制度の検討を始めている。20年には286人の高齢者が「孤独死」したという。 青梅市はすでに、葬儀や納骨などを任せられる親族等がいない独居または高齢者のみの世帯で一定の条件を満たす人に、葬儀の生前契約をサポートする事業を行っている。
 社協による独自の終活支援も広がっている。2022年度から墨田区社協ではひとり暮らしの人を対象に、見守りから死後の手続きまでを有料でサポートする「すみだあんしんサービス」を開始した。契約時に契約支援料3万円と預かり金150万円を支払えば、3段階にわけて支援が受けられる。 
 足立区社協、中野区社協、品川区社協、文京区社協も同様に高齢者の見守り、入院時の対応、亡くなった後の事務手続きや遺言書作成などを有料で支援する事業を行っている。また、武蔵野市福祉公社、調布市社協も同様のサービスを提供している。
 終活支援に詳しい日本総合研究所の沢村香苗研究員によると、全国で30以上の自治体と社協が終活支援に独自で取り組んでいる。沢村さんは課題をこう語る。
「身寄りのないひとり暮らし高齢者の支援をどこの省庁が担当窓口になるかもまだ、決まっていない中、現場を持つ市区町村が国に先んじて対策に取り組んでいる。住む市区町村によって受けられる終活サービスに差が出ないよう国にも動いてほしい」
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超高齢社会に対応するウエルネスタウン














能登半島地震で災害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げます。そして亡くなられた方々のご親族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。   

能登半島地震の被害は直近で死者202人、安否不明者102人と発表されました。大変な震災に多くの方々が心を痛めておられると思います。今回の震災を通して多くの方々がお感じだと思いますが、被害にあわれた方々の中に、多くの高齢者が含まれていたことです。
随時更新【最新情報まとめ3】能登半島地震 死者は202人 安否不明102人
によれば、安否不明者のデータでは、安否不明者102人の中に、不明な方もおられますが、高齢者は58人、その内75歳以上の後期高齢者は約40人程度と思われます。恐らく死者においても半数以上が高齢者又は後期高齢者と思われます。   

県の報告書にも「石川県における65 歳以上人口に占める 75 歳以上(後期高齢者)人口の割合は、年々増加しており、令和2 年で半数を越え、令和7年以降は6割を越えて推移する⾒込みだが、令和 17 年以降は微 減となることが⾒込まれる。令和2年時点で、本県で最も高齢化率が高いのは珠洲市の 51.7%である」とあります。震災における死者202人の内、最も多かった珠洲市が91人と最多を占めるのもうなずけます。やはり、高齢化率が高ければそれだけ災害が起こった際には受けるダメージも大きくなります。   

今後も、後期高齢者の増加傾向は続き、団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025 年には、高齢者の 5 人に 3 人が後期高齢者になると見込まれています。https://www.pref.ishikawa.lg.jp/ansin/plan/documents/2bu.pdf
石川県後期高齢者推移石川県後期高齢データ













































超高齢社会における地域インフラの整備を急がねばなりません。地域に分散した医療と介護を集めるコンパクトシティ構想や福祉の街づくりウエルネスタウン構想の実現に向けて大きな舵を切らねばなりません。
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