
「何故訪問系の介護報酬は引き下げられるのか?訪問系介護事業は儲かってはいない。厚労省の数字のマジックである」
訪問系介護事業が儲かっているので、今回の報酬改定では引き下げるという。その根拠となるのが訪問系サービスの収支差率です。政府の報告によれば、2023年度は訪問介護で7.8%、訪問看護で5.9%、訪
問リハビリは2021年度決算時のマイナスからの急速なV字回復で9.1%となっていること、定期巡回・随時対応型に至っては11.0%と、全サービス中唯一の二桁収支差率となったからというのがその理由です。
筆者は何故、訪問系の介護事業の収益差が改善したのか、その原因はどこにあるのかをネットで調べてみたが、誰もその原因については触れていない。改善したのであれば当然その理由があるはずである。その理由に基づいて報酬の引き下げがなされたはずです。
しかし、どこをみてもその原因に触れた部分が無いのである。只単に、収益が改善したから、報酬を引き下げるという。即ち儲かりすぎているから引き下げるという論拠である。但し、儲かりすぎている原因については触れてない。本当に何が原因で儲かりすぎているのかも全く触れていないのです。
そこで厚労省の訪問介護の調査データを分析してみると意外なことがわかります。
介護料収入は令和2年度の月平均2,904千円に対して令和3年度2,966千円、令和4年度2,922千円で令和3年度よりもマイナス44千円と減少しているのです。
その他収入を入れた合計収入では令和2年度の月平均2,942千円に対して令和3年度2,968千円、令和4年度3,001千円で令和3年度より33千円増加しています。但し、令和4年度は補助金が令和3年度に比べて31千円増加しています。それを前年並みとした場合は2,975千円と前年に対して7千円しか増加していないのです。
反対に費用は令和2年度の月平均2,680千円に対して令和3年度2,750千円、令和4年度2,695千円で令和3年度よりもマイナス55千円と減少しています。
即ち収益のマイナスよりも費用のマイナスが大きかった為に、前年より利益がプラスとなっているのです。それを補助金を加えたことで大幅に利益が増えたように見せかけているとしか言いようがありません。
事業収益が伸び悩み、その反面人員不足等で給与等費用が減少したために利益が出たということです。
費用の減少は更に分析をしてみなければなりませんが、気になるのは給与額が令和3年度に月額平均2,202円に対して令和4年度は2,175千円と減少していることです。
結論を言えば収益は減少したが、人件費の削減と事業外の補助金等で利益が出たことになります。これは介護報酬を減額する理由にはなりません。厚労省の数字のマジックで強引に介護報酬の削減しようとしているのではないでしょうか。
