無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

カテゴリ: 未来の日本

施設中心から在宅中心へ──日本の高齢者支援は大転換期を迎える

日本では、団塊の世代がすべて後期高齢者となり、在宅生活が徐々に困難になる高齢者が急増しています。これまで「施設入居」が高齢期の生活モデルとして語られることが多かったものの、今後はその前提が大きく揺らぎ始めています。

私は、2040年前後を境に「施設中心社会」から「在宅中心社会」へ転換する可能性が高いと考えています。これは単なる人口推計ではなく、社会構造そのものが変わる現象です。
施設から在宅へ















■ 2025年時点:すでに「高齢者=在宅」が基本構造

現在、特養・老健・有料老人ホーム・サ高住などの居住系施設に暮らす高齢者は約220〜240万人。一方で、要介護認定者の多くは自宅で介護サービスを受けながら生活しています。

つまり、 「高齢者=施設」ではなく、「高齢者=在宅」がすでに多数派」 というのが現状です。

しかし2030年以降、この構造はさらに加速します。

■ 2030年以降:施設供給が伸びない3つの理由

① 建設費の高騰

土地代、建築資材、設備、金利──すべてが上昇し、施設の新規建設は極めて難しくなっています。今後もコストが下がる見込みはほぼありません。

② 介護人材の不足

2040年には介護職員が約57万人不足すると推計されています。 つまり、 「施設を作っても職員がいない」 という構造的な限界が訪れます。

③ 既存施設の品質劣化

中価格帯以下の施設では、

  • 人員配置の維持

  • 夜勤体制

  • 教育・研修

  • 管理職不足 などから、サービス品質の維持が難しくなる可能性が高まっています。

空室があっても受け入れられない、サービスの質が保てない──そんな施設が増える未来が見えています。

■ 一方で「在宅支援」は急速に進化する

在宅生活を支える技術とサービスは、今後さらに高度化します。

  • 訪問介護

  • 訪問看護

  • 訪問診療

  • オンライン診療

  • 見守りAI

  • IoTセンサー

  • 服薬管理システム

  • 24時間コールセンター

  • 配食サービス

  • 移動支援

これらが組み合わさることで、 在宅生活の維持コストは下がり、質は上がる という方向に進みます。

■ しかし「最後のピース」が欠けている

在宅生活を支えるうえで、介護保険サービスでは絶対に提供できない領域があります。

それが、

在宅生活の“責任者”となる役割

です。

具体的には、

  • 財産管理

  • 支払い代行

  • 契約手続き

  • 保証人

  • 緊急時対応

  • 入院・退院支援

  • 施設入居調整

  • 死後事務・相続

これらは、訪問介護・看護・ケアマネ・病院・包括支援センターのどこも担えません。

私はこの領域を

「在宅ライフマネジメント市場」

と呼んでいます。

今後、この市場が急速に拡大することはほぼ確実です。

■ 2050年までのシミュレーション(仮説)

公的統計の方向性(高齢化、介護人材不足、施設供給制約)を踏まえると、以下のような構造変化が起こると考えられます。

● 2025〜2030年

施設需要は高いが、供給は横ばい。 在宅生活者が増加し、訪問系サービスが拡大。

● 2030〜2040年

施設の新規供給がほぼ止まり、既存施設の品質格差が拡大。 在宅生活を選ばざるを得ない高齢者が急増。

● 2040〜2050年

在宅支援が標準化し、AI・IoTが生活の安全性を担保。 「施設入居は例外的選択肢」へと変化。

■ ロングライフサポート協会が担うべき未来

私は、当協会は今後、事業の定義を変える重要なタイミングに来ていると感じています。

● 2025年まで

身元保証会社

● 2030年

在宅高齢者ライフマネジメント会社

● 2035年

地域在宅支援プラットフォーム

● 2045年

社会インフラ

これは、当協会が策定中の「2030ビジョン」と完全に一致します。

■ そして最重要領域は「金銭管理」

訪問介護 訪問看護 ケアマネ 病院 包括支援センター

──誰も金銭管理はできません。

だからこそ、

金銭管理が在宅生活全体を支えるハブになる

のです。

金銭管理を軸に、

  • 医療

  • 介護

  • 見守り

  • 緊急対応

  • 身元保証

  • 死後事務

  • 相続

これらが一つのサービスとして統合されます。

これはもはや

「身元保証サービス」ではなく

「人生の最後まで自宅で安心して暮らすための社会インフラ」

です。

■ まとめ:在宅終身支援の時代が始まる

2050年に向けて、日本は確実に「在宅中心社会」へ向かいます。 その中で、在宅生活の責任者となる「ライフマネジメント」の需要は爆発的に増えます。

ロングライフサポート協会が担ってきた身元保証・金銭管理・死後事務は、まさにこの新しい社会構造の中心に位置するサービスです。

在宅終身支援の社会インフラとしての役割は、今後ますます大きくなるでしょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

介護離職














スウェーデンには介護離職がないと言われます。日本は年間10万人を超える状況です。何が違うのでしょうか?

スウェーデンの社会福祉について次のように述べられています。
「介護離職」がないスウェーデン、年間10万人を超える日本 何が違う?
ヨミドクター2024.4.19 

「スウェーデン人は、長年税金を払い続けてきたのだから社会保障は権利であると、保障を受けることに堂々としています。そして、国の政策を信頼しています。そのため、家族に頼ろうという姿勢の高齢者には出会ったことがありません。」

「スウェーデンでは介護離職はありません。スウェーデンでは、パートナーや親子であっても、介護は介護する側が希望する場合にのみ行われます。そして、終末期においては、家族や大切な人と最期を共に過ごすために、医師が終末期ケアと認定することで、給料の8割が社会保障制度から出ます。さらに、自宅でも施設でも病院でも、ケア(医療と介護)はスタッフが行うため、家族は自分が大切な人と過ごしたいと思う時間にいることができ、何かしなくてはいけないことはありません。 」

次の表は日本とスウェーデンの国民負担率の国際比較です。
国民負担率(租税負担率+社会保障負担率)と潜在的国民負担率(国民負担率+財政赤字対国民所得比)を比較すると日本では2024年度は45.1%と50.9%、スウェーデンは2021年度で同55.0%と55.6%となります。国民負担率で10%、潜在的国民負担率で約4%の違いしかありません。
国民負担率国際比較2


















両国の比較は文化も歴史も違う為、一概には言えませんが、社会福祉のあり方を抜本的に見直さねばならないのではないでしょうか。

「国によって、高齢者介護のあり方と高齢者の心構えがこんなにも違うことに驚きます。超高齢社会を上手に乗り越えるために、日本は発想の転換が必要かもしれません。(宮本)」という意見に同意します。

「介護離職」がないスウェーデン、年間10万人を超える日本 何が違う? https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20240410-OYTET50001/ ヨミドクター2024.4.19   
 日本には、家族を介護するために自分の仕事を辞める「介護離職」をする人が1年間に10万6000人(2022年)います。男女ともに55~59歳の割合が高く、介護する人にとっても、社会にとっても大きな損失です。   

高齢者介護・保護の責任は市町村   
スウェーデンでは、親を介護する義務は法律になく、親の介護は「完全なる子どもの自由意思」です。また、「社会福祉法」には、「高齢者介護・保護は社会福祉を担う市町村の責任で行われる」とあり、家族はその責任を求められません。しかし、病気の子どもは親にケアされる権利があり、親は社会保障費をもらって入院中の子どもに付き添います。      

高齢者の介護義務に関する両国の法律は正反対です。日本では、保護する責任のある者が保護を怠れば犯罪になりますが、スウェーデンでは高齢者介護・保護は社会福祉を担う市町村の責任です。そのため、日本の法律は介護離職の要因になりますが、スウェーデンの法律は介護の犠牲者を生みません。日本の法制度は見直す必要があるのではないでしょうか。   

国によって、高齢者介護のあり方と高齢者の心構えがこんなにも違うことに驚きます。超高齢社会を上手に乗り越えるために、日本は発想の転換が必要かもしれません。(宮本)
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

持ち家高齢者の死亡リスク













今までこのような調査について聞くことはありませんでしたが、高齢者の死亡リスクについて認識を改めさせて頂きました。   

千葉大学と東京大学の研究者が高齢者約4万4,000人を9年間追跡調査し、暮らしている住宅の種別と死亡リスクの関係を検証したところ、死亡リスクは持ち家が最も低く、民間の賃貸住宅より公的賃貸住宅が低いことが分かったとのこと。   

大変有意義な調査だと思います。高齢者の死亡リスクは持ち家が最も低いというデータにやはりかとうなずけるところが大きいです。現在の高齢者世帯は、持ち家比率が高く約8割が持ち家に居住していると言われます。日本が長寿社会と言われる要因がここにあるのでしょうか。しかし、約2割の人が賃貸であり、特に低所得の高齢者の賃貸に住む死亡リスクが高まっているとも言えそうです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   
高齢者の死亡リスク、持ち家が最も低く、次いで公的賃貸住宅
大学ジャーナルオンライン編集部 2024.4.20  
 千葉大学予防医学センターの花里真道准教授と東京大学先端科学技術研究センターの古賀千絵特任助教が高齢者約4万4,000人を9年間追跡調査し、暮らしている住宅の種別と死亡リスクの関係を検証したところ、死亡リスクは持ち家が最も低く、民間の賃貸住宅より公的賃貸住宅が低いことが分かった。    
千葉大学によると、花里准教授らは日本老年学的評価研究が65歳以上の高齢者を対象に実施した調査のデータを利用し、自立して生活している全国9市町村、合計4万4,007人を2010年から9年間追跡して居住する住宅の種別と死亡リスクの関係を検証した。    

追跡期間中に1万638人が死亡したが、検証の結果、死亡リスクが最も低かったのは持ち家に住む高齢者であることが分かった。賃貸住宅で暮らす高齢者の死亡リスクは持ち家より高かったが、公的賃貸住宅に居住する高齢者は民間やその他の賃貸住宅に比べ、有意に低かった。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

24-4-18障害事業人員不足














 福祉の現場の存続が益々厳しい状況に置かれている。福祉医療機構の調査で人材不足がより深刻な状況に陥っていることが報告されている。職員の不足を訴える事業所は52.6%と過半数を超えている。職員確保が厳しい要因としてはやはり「他産業よりも低い賃金水準」を多くの事業所が訴えている。介護の事情と同じである。

 22年度の決算では人件費の高騰により赤字の事業所が増えていることも報告されている。介護も障害もそれに従事する人の確保がままならず、こもままでは維持すらできないような状況に陥っていく。   
公的支援に頼らざるを得ない事業の存続が危ぶまれる。   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   
障害福祉事業所、職員不足52.6% (福祉医療機構調査)
福祉新聞2024.4.16  
 障害福祉サービス事業所のうち、職員の充足状況について「不足している」とした事業所が52・6%だったことが3月29日、福祉医療機構(WAM)の2023年度調査で分かった。   

20年度に実施された同じ調査と比べ2・4ポイント上昇した。職員不足を理由に利用者の受け入れ制限をする通所事業所は16・4%で、20年度調査と比べ7ポイントも増えた。   

職員確保が難しい要因(複数回答)としては「他産業よりも低い賃金水準」(68%)を挙げる事業所が20年度調査よりも12ポイント増えている。   

また、22年度決算が赤字の事業所は、生活介護が31%、就労移行支援と就労継続支援A型事業がそれぞれ45%となっており、前年度よりも人件費比率が上がり、赤字事業所も増えた。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


ケアマネのシャドーワーク議論














 日本介護支援専門員協会・柴口里則会長がケアマネのシャドーワークを「できるだけなくすべき」と論じていますが、その程度のお話でしょうか?  
 
 会長は「あわせて、シャドーワークをできるだけ少なくすべきだと訴えていきます。地域で高齢者を支えるための活動が、無償というのはやはりおかしい。報酬なしで色々任される、という点に問題があるのではないでしょうか、我々は介護支援専門員の活躍の場を増やし、報酬を引き上げ、社会的な評価を高めていくための提言をしていくつもりです」と言われていますが、シャドーワークの中身を真っ先に協会が全国調査をすべきではないでしょうか?   

 小手先で解決できるような問題でしょうか?あまりに安易に考えているのではないでしょうか?問題はもっと本質的な社会の変質とそれに対応するための新しい社会制度作りにあるのではないでしょうか?その最前線で起きているケアマネのシャドーワークを「できるだけなくすべきだ」というレベルで簡単に考えるべきではありません。   
・・・・・・・・・・・・・・・・・・   
ケアマネのシャドーワークを「できるだけなくすべき」 協会が新たな検討会で訴えること    
介護のニュースサイト JOINT2024.4.15  
 今年度はケアマネジャーにとって大きな節目となりそうだ。介護保険制度の要が様々な困難に直面しており、国は対策を議論する有識者会議を15日から始動する。【Joint編集部】   

柴口会長はケアマネの業務範囲の問題について、「シャドーワークをできるだけ少なくすべき」と強調。「介護支援専門員の職責を狭くするというより、その重要な役割に見合う対価を求めるべきと考える」と述べた。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ