無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

カテゴリ: 2021年介護報酬改定

いよいよ4月から介護報酬が改定される。厚労省はその為に処遇改善加算や職場環境要件を厳格化し、その徹底を通知している。加算は一体何の為に、誰の為にあるのか?わずかな加算の為に、加算要件が増え、より複雑になっていく。色々な加算を取り込んでいかないと報酬は増えないし、処遇改善はできない。小さな介護事業者は益々厳しくなるし、職員も確保できない。このままでは医療事務資格制度同様に、介護事務資格制度と専門スタッフが必要なる。しかし、その報酬は圧倒的に医療よりは低い。果たして、このまま介護事業を事業として継続できるのであろうか?昨日、介護業界の古い友人が介護から撤退するという話にショックを受けた。例外ではないであろう。
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処遇改善加算、職場環境要件を厳格化 厚労省通知 新年度は経過措置も
介護のニュースJOINT2021.3.18  
いよいよ来月に迫った介護報酬改定では、介護職員の処遇改善加算と特定処遇改善加算の算定ルールも変更される。厚生労働省は16日、その細部を規定する通知を全国の自治体へ発出した。介護保険最新情報のVol.935  

新年度から大きく変わるのは、賃上げ以外の要素にフォーカスした「職場環境等要件」。求められることが従来よりも増える。  

厚労省は今回、事業所が行うべき施策をまとめた既存の表(通知の表4)をアップグレード。通知の中に盛り込み、これに基づく取り組みの推進を要請した。職場環境等要件の実効性を高めることが狙いで、加算ごとに異なるルールを設定している。  

まずは特定処遇改善加算。  
新たな表は6つのカテゴリ(*)で構成されているが、このカテゴリごとに1つ以上の施策を実施することが必須とされた。これまでは過去の取り組みを含める扱いも許されたが、今後は年度ごとに必ず行っていかなければいけない。
  
* 入職促進に向けた取り組み、資質の向上やキャリアアップに向けた支援、両立支援・多様な働き方の推進、腰痛を含む心身の健康管理、生産性向上のための業務改善の取り組み、やりがい・働きがいの醸成、の6つ。  ただし、新年度のみに限定した特例も創設される。6つのカテゴリから3つを選び、それぞれ1つ以上の施策を実施すればよいという。現場の負担を考慮した経過措置だ。厚労省は今回の通知で新たに発表した。  

一方、(普通の)処遇改善加算。その数に関する縛りはないが、新たな表の施策のいずれかを年度ごとに必ず行っていくこととされた。過去の取り組みは同じく認められない。特定処遇改善加算で進めている施策と重複していても、ルール上は問題ないとされている。  

今回の改定ではこのほか、特定処遇改善加算の事業所内の配分ルールも見直される。厚労省はそのことも通知に明記した。「経験・技能のある介護職員」の平均賃上げ額を、「その他の介護職員」の平均賃上げ額の2倍以上にすること、という現行のルールを緩和する。「2倍以上にすること」から「より高くすること」へ弾力化する。事業者の自由度を高めて加算を活用しやすくすることが目的。厚労省はこうした変更を踏まえた来年度の計画書を、4月15日(木)までに提出するよう呼びかけている。

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居宅介護支援事業所にケアプランに位置付けたサービス割合と同一事業所によって提供されたサービス割合の説明を利用者に年2回行うことの運用を新年度から開始する。このことにどれほどの意味があるというのか?
利用者にとってのメリットはいかほどか?文書の交付に加えて口頭で丁寧に説明すること、それを理解したという確認を利用者から得ることも求めており、これらに違反した場合、「運営基準減算」を適用する規定も盛り込んだ。一体何をしたいのだ!ただ単なる居宅支援事業所に負荷をかけるだけで、利用者にとってのメリットはほとんど感じられない。厚労省のマスターベーションに過ぎない!
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【居宅介護支援】サービス割合の説明、利用開始時に 算出は年2回 厚労省通知案
介護のニュースJOINT2021.3.11   
厚生労働省は9日、来月に迫った介護報酬改定の解釈通知の案を公式サイトに掲載した。ケアプランに位置付けたサービスの割合などを利用者へ説明する、という居宅介護支援の新ルールについても言及している。  

厚生労働省は9日、来月に迫った介護報酬改定の解釈通知の案を公式サイトに掲載した。ケアプランに位置付けたサービスの割合などを利用者へ説明する、という居宅介護支援の新ルールについても言及している。の割合などを算出するよう要請。期間の分け方は以下のように示した。  

○ 前期 = 3月1日から8月末日
○ 後期 = 9月1日から2月末日 

 利用者への説明については、サービス提供開始の際に前期、後期のうち直近の割合で行う決まりとした。文書の交付に加えて口頭で丁寧に説明すること、それを理解したという確認を利用者から得ることも求めている。これらに違反した場合、「運営基準減算」を適用する規定も盛り込んだ。今後、更なる詳細をQ&Aなどで示す見通し。 

 厚労省は昨年末、新年度の改定で居宅介護支援の運営基準を見直す方針を決めた。以下の2点を利用者へ説明することを、4月から全ての事業所に義務付ける。公正・中立なケアマネジメントの確保を図る施策の一環。   

○ 前6ヵ月間に作成されたケアプランの総数のうち、訪問介護、(地域密着型)通所介護、福祉用具貸与がそれぞれ位置付けられたケアプランが占める割合  
○ 前6ヵ月間に作成されたケアプランに位置付けられた訪問介護、(地域密着型)通所介護、福祉用具貸与ごとの回数のうち、同一の事業者によって提供されたものが占める割合(上位3位まで)
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4月からの介護報酬改定について先日デイを併設している住宅型有料老人ホームやサ高住を展開している事業者から減算になるのではないかと相談を頂いた。
通所介護同一建物減算














今回の報酬改定でデイサービスの限度額については、有料老人ホームに併設されているなど、集合住宅減算などの対象となる場合は、訪問介護と同様に減算適用前の単位数で計算する方式に変わることを重視しておられ、実質的に減収になるということを心配しておられた。

確かに、同一建物減算の対象で、限度額の利用割合が高い利用者の場合、最大で同一建物減算10%相当分が限度超過となり、サービス量を減らすことを余儀なくされることから、減収が予測されるのは当然のことであるが、我々の試算では一概にそういえない部分もあることが判明した。

全ての利用者が限度額いっぱいまで利用しているかというと決してそうではない。中にはそのような方もおられるが、全体をみれば限度額フルという状況ではないのである。当協会が資産をした施設も現状の介護保険適用率(限度額に対して使用している介護保険割合)は83%程度であったが、今回の改定で全ての施設を合計しても88%程度というように若干上がった程度であった。限度額フルの状態の施設は確かに減収となるが、全体の施設からすればそこまでには至っていないというのが現状である。まずは、1施設ずつ試算を行い、下がる分はできるだけ訪問サービスや加算でカバーできるもので行い、極力フルに近づけていく余地は残されていると考える。

又、残念なのは訪問の特定事業所加算が審議の途中までは限度額対象外という方針であったが、最終的には限度額の対象基準にするという判断に至った。これは我々も厚労省に確認をしている。まだ知らない人がいるので要注意である。
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小濱道博の介護経営よもやま話
迫る改定、居宅介護支援以外のポイントまとめ
ケアマネジメントオンライン2021.2.25  
広がる事業者格差、二極化がより顕著に  
多くの施設や事業所が算定する加算に、サービス提供体制強化加算がある。今回の改定では、新たに上位区分が設けられるとともに、従来の下位区分が統合される。これに伴い、現行の加算IIの算定要件である「勤続3年以上の介護職が30%以上」は、「勤続7年以上の介護職が30%以上」に厳格化されるため、1回6単位の報酬を算定できなくなる施設や事業所が相当数出てくるだろう。  

全体の改定率は0.7%のプラスだが、全ての事業者が一律に恩恵を受けられるわけではない。新設される上位区分の報酬を算定できる場合は増収につながるが、現状維持の場合は大幅な減収となる。事業者間の収入格差が広がり、二極化がより顕著になっていくだろう。  

訪問介護の特定事業所加算にも、新たに加算(V)が設けられる。こちらの算定要件も、「勤続7年以上の職員が30%以上」で、加算(III)とのみ併算定可能だ。厚労省の審議会では、特定事業所加算を区分支給限度基準額(以下、限度額)の対象外とする案が浮上したが、最終的に見送られた。

デイは基本報酬増も、実質マイナス?  
一方、限度額については、有料老人ホームに併設されているなど、集合住宅減算などの対象となる場合は、訪問介護と同様に減算適用前の単位数で計算する方式に変わる。  

さらに、大規模型Iまたは大規模型IIを算定している事業所については、利用者との公平性の観点から、通常規模型の単位数に置き換えて限度額を計算する方式に改まる。

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生活保護費引き下げ違法














昨日大阪地裁で受給者の画期的な勝訴判決が出た生活保護費減額訴訟について、大阪地裁の判断はこれまで言われてきた物価偽装による国の違法を追求したものであった。2019年4月14日に日本共産党の倉林明子議員が参院厚生労働委員会で「物価偽装」のもとで生活保護基準引き下げ撤回を求める声を突きつけ、政府の姿勢を正した内容そのものである。大阪地裁は国が消費者物価指数よりも著しく大きい下落率を基に改定率を決めており、統計などの客観的な数値との合理的関連性を欠いた」と判断した。国は当然上告をするであろうが、もうこれ以上、恥の上塗りはしないで頂きたい。間違いなのは間違いなのである。参照→

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生活保護費減額は違法 13~15年分を取り消し 受給者初の勝訴・大阪地裁 
Yahoo!ニュース2021.2.22  
国は13年以降の3年間に、デフレによる物価下落を反映させるなどした結果、食費などに充てる生活扶助費の基準額を平均6.5%、最大10%減額した。制度創設以来、最も大きな引き下げ幅で、年間の削減額は約670億円に上った。

判決で森鍵裁判長は、政府は石油製品や食料などが大幅に値上がりした08年を起点に、その後の3年間の物価下落率を反映させたと指摘。「特異な物価上昇が織り込まれて下落率が大きくなることは明らかだ」と述べた。また、物価下落率算出の根拠とされた厚生労働省の指数には、生活保護受給世帯の支出割合が低いテレビやパソコンなど、教養娯楽用製品の大幅な値下がりが反映されていたと言及。  

消費者物価指数よりも著しく大きい下落率を基に改定率を決めており、統計などの客観的な数値との合理的関連性を欠いた」と判断した。

その上で、「最低限度の生活の具体化についての判断に誤りがあると言わざるを得ず、裁量権の範囲の逸脱か乱用がある」と結論付けた。憲法判断は示さず、国への賠償請求は退けた。

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結城先生介護報酬改定に苦言















【衝撃】訪問介護は見放されたのか? 2021年度報酬改定=結城康博
介護のニュースJOINT2021.2.19  
地域で奮闘されているサ責やヘルパーに、心からのエールをお送り致します。日本の在宅介護を支えているのは皆さんです。今は暗澹とした気持ちだろうとお察ししますが、ここは是非めげずに頑張って頂きたい。  

今回のテーマは訪問介護です。誰かが言わなければいけない話ではないでしょうか。  

4月の改定で変わる各サービスの介護報酬が公表され、訪問介護の新たな基本単位数も明らかになりました。どの時間区分も1単位増。1時間以上1時間半未満のみ2単位増でした。他のサービスと比べると明確な冷遇で、最も低い評価となっています。  

過去の累次の引き下げで今の状況になったのに、1単位増ではまったく話になりません。国は表向き「訪問介護は大事」と言ってきましたが、結局のところ見放したということでしょう。私と同じ捉え方をしている人は少なくないと思います。違うと言うなら是非、どこかの機会で広くアナウンスして頂きたい。  

このため、全体でプラス0.7%という小さいパイを我先にと奪い合う構図になり、政治的な影響力の強いところ、声の大きいところがそれを制することになりました。本来ならもっとご利用者の立場に徹して交渉にあたるべきだった、と指摘させて頂きたい。 

 訪問介護は残念ながら有力な事業者団体を持っていません。これが今回の結果に至った背景の1つです。訪問介護が業界内の争奪戦に惨敗した、と評することも可能でしょう。  

これは何度でも言わせて頂きたいのですが、在宅介護の土台は訪問介護です。科学的介護を進める加算も重要でしょう。定期巡回や小規模多機能も重要でしょう。でも多くの高齢者の在宅生活を現に支えているのは、他ならぬ訪問介護なんです。  

高齢ヘルパーの引退の加速も見込まれるなか、今回の改定で思い切った手を打たなかったのは完全な失策です。15倍という異次元の有効求人倍率を放置するのだとしたら、その罪は重いと言わざるを得ません。確かに加算などプラスの部分もありますが、事業所の負担も増えるので状況の悪化は止まらないでしょう。 

私は大学で介護人材を育てており、今も毎年10人超の新卒の若者を介護現場へ送り出しています。目下就活中の学生にも介護職に就いてもらいたいですが、さすがにもう訪問介護事業所は勧められません。以前は新卒で入る教え子もいたのですが、あまりにも処遇が悪すぎます。未来ある若者のことを考えると、もはや彼らを訪問介護事業所へ送るのは難しくなってしまいました。

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