無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

カテゴリ: 身元引受サービス

弁護士が成年被後見人の口座から“無断で現金を引き出し流用” 業務停止6か月の懲戒処分(2024年12月12日) 

 業務停止6か月の懲戒処分を受けたのは、大阪弁護士会に所属する川村哲二弁護士(65)です。弁護士会によりますと、川村弁護士は2021年10月ごろから2022年1月ごろまでの間、複数回にわたり成年被後見人の口座から計約675万円を無断で引き出し、事務所の移転費用や事務員に支払う退職金の一部に流用したということです。また、通帳の記載内容を書き換え、家庭裁判所に対し虚偽の会計報告をしていました。    

川村弁護士は「深く反省し今後このようなことがないようにしたい」と話し、不正を認めていて、既に全額返還したということです。   

成年後見人に就任をすると、毎年1年間の収支と財産の状況などを家庭裁判所に報告しなければなりません。これに通帳のコピーや領収書のコピーを資料として添付することになっています。   
しかし、今回の事件では通帳の記載内容を書き換えて、虚偽の報告を家庭裁判所に対し報告していたといいます。

この通帳の記載内容の書き換えですが、これまで弁護士から聞いた話によれば、通帳のコピーそのものを書き換えるという手法も日常茶飯事とのこと。金銭管理を行うものからすれば考えられないことですが、これは何度も言うように成年後見制度そのものの欠陥と言わざるを得ません。
弁護士だから信用ができるといったことでは解決するはずがありません。   

我々は毎月、会計士の監査を受けて、1カ月の資金の使途を記した金銭管理表と通帳のコピーを付けて本人又はご家族に報告しています。しかし、成年後見人等は家庭裁判所に報告する義務はありますが、親族等へ本人の財産状況を報告する義務はありません。 後見人の裁量で情報を開示するか判断することになるとのこと。これはもう明らかに制度上の欠陥と言わざるを得ません。

弁護士だから間違ったことはしないという解釈かもしれませんが、これは金銭管理を行う者からすれば非常識極まりないと言わざるを得ません。   

会計を扱う業界にはアカウンタビリティ(Accountability)という言葉があります。アカウンタビリティ(Accountability)とは、権限移譲された職務に関して、ステークホルダー(利害関係者)に対して説明する責任を指す言葉です。アカウンタビリティは、契約の経済学から発生した概念で、経営を委託するステークホルダーと、受託する経営者の間で発生する情報の非対称性を埋めるために定着しました。

財産や金銭を預かる者としては当然の責任として果たさねばならない説明責任となります。これが1年で1回で良いはずがありません。企業の会計と同様少なくとも1カ月1回の説明責任を利害関係者に行わねばなりません。この常識が成年後見制度には欠落しているのです。   

我々の身元引受はこのことを重視し、次のような管理体系を取っています。これは身元引受で金銭管理を行うものとしては当然のことと思います。本日も1日会計士の監査を受けて、間違いがないことの印鑑を頂きました。これからも徹底して参りたいと思います。
金銭管理をハブとするワンストップサービス
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身元引受サービスの対象者はこれまではどちらかというと施設に入る際の身元保証をして欲しいとかで、高齢者施設の紹介事業者からのご紹介や、病院から退院する際に、自宅での生活は難しいので施設に入る際に身元保証人になってもらえないかとの行政のケースワーカーや地域ケアマネ、ソーシャルワーカーからのお話が主でありました。    

しかし、ここにきて独居の高齢者が増え、賃貸や自宅で暮らす比較的元気な60~70歳代の問い合わせが増えてきたように思います。恐らく、今後は施設に入りたくても入れない高齢者が増加していくことが考えられます。   

そうなりますと、現在の住居で生活をしながらも、段々自分一人での生活が困難になってくる方々が増加してくるものと推測されます。その際に、一人ぐらいの高齢者の病院に入院する際の手続きや保証、お金の出し入れから、行政の手続き等様々な支援がが必要になってきます。そしていよいよ施設に入らねばならないとなった時の施設のお世話から、保証業務が必要になって参ります。   

このような方々に対して在宅、そして在宅~施設、在宅から病院と一貫した身元引受サービスの提供をを真剣に考えねばなりません。 今まで我々が温めてきた「みより・クラウド・システム」の稼働に向けて、具体的な推進方法を考えて参りたいと思います。
みより・クラウド・システム
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65歳以上の単身女性44%が“貧困”の現実(BS-TBS『報道1930』11月3日放送より) 

 高齢者の貧困の問題がクローズアップされてきていますが、何故、今までこの問題は放置されてきたのでしょうか?   

 生活保護受給者の55%が高齢者であり、そして65歳以上の単身女性の44%が貧困という現実をどうとらえたらいいのでしょうか?現在65歳の平均年金受給月額は、男性14万9000円であるのに対し女性は9万3000円、この5万円以上の差がもたらした現実として、65歳以上の単身女性の貧困率は実に44.1%に上るといわれる状態にまで落ち込んでいるのです。   

“百年安心”と謳われている日本の年金制度、実は世界の年金ランキングでは65位という有様。この年金制度の中で最もあえいでいるのが高齢の単身女性です。その根本的な原因は年金に男女差別があるわけではなく、男性の方が厚生年金に加入している期間が長いという社会的な事情、結局非正規社員の圧倒的多数が女性ということの現実の反映でしかありません。   

結果としてこの30年間で所得格差は拡大し、貧困が大幅に増えたという事実だけが残ることになりました。新自由主義という名のもとで一部富裕層の拡大と大企業優先の政策は結果としては国民を貧しくしただけではなかったでしょうか。   

大きな転換を果たさねばなりません。その為にはまず政治を変えることです。今まであまり政治の話はしたくはありませんでしたが、ここに至ってはそれしか日本を救う道はないと確信します。   

今ここで世界基準で年金制度の抜本的改革を行わねば、このまま日本は沈んでしまいます。   

当面の対策として、立憲民主党 長妻昭 代表代行 の意見に賛成します。
「深刻なのは団塊ジュニアの女性50~53歳の方々。非正規比率も高いし、就職氷河期で全体的に賃金も低いし未婚率も高い。そういった方々が2040年ごろ老後を迎えた時に生活ができなくなる。間違いなく今のままだとそうなる。(中略)我々は『上乗せ年金』の創設が必要だと…。一定の(低い)年金の方に税金で上乗せする。イギリスでもPension Credit、ドイツでは基礎保障、フランスでは連帯保証といって年金が少ない方に上乗せする制度がある。民主党政権の時に『年金生活者支援金』(財源には4~5000億…)という制度を作った。これを拡充して…」
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日常生活支援事業は頭打ち













(身寄りなき老後)日常の金銭管理、ちょっとお手伝い 日常生活自立支援事業 朝日新聞デジタル 2024年12月6日

「福祉サービスを利用するための手続きや、日常的な金銭管理などに不安がある人をサポートする事業を、全国の社会福祉協議会(社協)が実施しています。頼れる身寄りがいない一人暮らしの高齢者も多く利用しているといいます。」 という記事が出ています。

それなりに国は身寄りの無い高齢者に対して支援の輪を広げようとしていますが、行政主導だけではその輪は広がりません。その実態を全国社会福祉協議会が報告しています。

その実態を見て見ましょう。
2023(令和 5)年 8 月 15 日 社会福祉法人 全国社会福祉協議会 Action Report 第 246 号より   

令和 4 年度 日常生活自立支援事業に関する調査結果   
本会がとりまとめた令和 4 年度の本事業の実施状況調査結果によれば、年間の問合せ・相談件数は 233 万 1,881 件(前年度比 4 万 3,851 件増)であり、1999(平成 11)年10 月に「地域福祉権利擁護事業」の名称でスタートして以来、増加の傾向が続いています。また、1 年間の新規契約者は 1 万 866 人(同 36 件増)で、そのうちの約 4 割を生活保護受給者が占めており、福祉事務所のケースワーカーとの役割分担等が課題となっています。なお、契約終了件数は 1 万 748 件(同 259 件減)でした。  
生活支援事業相談・問い合わせ件数、新規契約件数














 
最新のデータでは65歳以上の生活保護受給者は約105万人と増加傾向にあります。日常生活支援はこのレベルで追いつくのでしょうか?

日常生活支援の実利用者数は56,550件ということで、その4割が生活保護としてもその数は22,000人程度となります。生活保護受給者においてもわずか2%程度しか支援ができていないことになりますし、下記にあるようにその数も頭打ちとなっています。しかも実際の支援の担い手である生活支援員は 1 万 5,388 人と減少(同 365 人減)しているのです。

支援したくても、予算と人員の制限でこれ以上の役割を果たすことが困難になっているのです。この事業の重要性は十分にわかるものの、何故マスコミを始めとして限界であることを指摘しないのでしょうか?国も行政もこの現実を直視すべきです。

日常生活支援事業は頭打ち













これにこれまでも指摘をしてきましたように3親等以内の親族がいない高齢者の数は286万人、これが2050年には約448万人にも膨れ上がります。到底行政主導で対応ができるはずがないのです。

令和 5 年 3 月末時点の実利用者数は、56,550 件(同比 1 件増)と、近年は横ばいの傾向が続いていますが、この背景には、本事業が補助事業であり、予算上の制約等から支援を担う職員体制の拡充が難しいことがあげられます。
生活支援事業利用者の推移


















  



本事業の実施主体は都道府県・指定都市の社協ですが、事業の一部を委託された基幹的社協(市区町村社協)数は、前年度比 18 増の 1,596 社協になりました。従事職員では、専門員(4,016 人、同 219 人増)は増加した一方、実際の支援の担い手である生活支援員は 1 万 5,388 人と減少(同 365 人減)しています。
基幹的社共等の状況

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高齢者向けシェアハウスのニーズが増加 配偶者との離婚や死別を機に入居される方も
女性自身 2024.12.2 
サブタイトル 「月6万円から入居できる物件も!終の住処に「高齢者用シェアハウス」3つのメリット」
記事まとめ
・高齢者向けシェアハウスのニーズが増えており、数が増加しているという
・住民同士の交流が生まれ「独りではない」という安心感を得られるのがメリットだという
・配偶者との離婚や死別、子どもの独立などを機にシェアハウスに入居される方が多いよう  
一般的に“シェアハウス”とは、一戸建てや集合住宅で自分専用の部屋を持ちつつ、キッチンやリビングなどは、ほかの住民と共有しながら生活する居住形態のこと。 比較的、初期費用や家賃を低く抑えられ、水道光熱費などもシェアすることで負担が軽減される。なによりも、住民同士の交流が生まれ、「独りではない」という安心感を得られるのがメリットだ。
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全国的にシェアハウスが増えているといいます。配偶者との離婚や死別、子供の独立などを機にシェアハウスに入居される方が多いといいますが、課題も残りそうです。 対象は元気なシニアが施設に入る前の段階で一人暮らしが不安な方が多いようですが、ここから次のステップにどう移行するかということでしょう。   

皆さんは極力、元気な内は現在の住居でお暮しになることを望まれると思います。段々弱ってきて、一人暮らしが不安になってきてから初めて、次の住まいと終活を考えるようになると思います。   

その段階ではただ単なる生活をシェアするというだけではなく、身の回りのお世話や介護が必要になってきた時の介護や医療をどれだけバックアップしてくれるか、亡くなった時のお世話は誰がしてくれるのか、病院に入院するようなときは誰が保証人になってくれるのかということだと思います。   

それともう一つは施設に入りたくても収入の面等でなかなか希望の所に入れない、そのような方々が一緒に暮らすことで生活同時にお財布もシェアすることでできるハウスであれば、それに越したことはありません。   

そういう意味では「低価格の介護付きシェアハウス」は今後のトレンドの一つになっていくのではないでしょうか?我々はそのような高齢者に向けて「みよりサポートハウス」の普及に努めます。   

今回、東京都足立区竹ノ塚で株式会社ルナ様と一緒に「みよりサポートハウス竹ノ塚」を立ち上げました。是非、皆さん、遊びに足を運んでみませんか。   

都内でありながら、縁側のある古民家風のシェアハウスです。見学大いに歓迎です。
詳しくはこちらまで ➡

みよりサポートハウス竹ノ塚
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