
高齢者施設での通帳とカードを盗んだ疑いで介護士が逮捕されているが、この手の事件が後を絶たない。恐らく、今後更にその件数は増えるものと考えられる。2020年度には全国で59人が被害にあったと認定されたが、「氷山の一角」と言われている。
今回の神戸の老人ホームでの通帳とキャッシュカードの窃盗は男性が亡くなった後、通帳などがないことに家族が気づき、被害届を出して発覚したという。
いつも家族が施設に来て身の回りをチェックしている場合には、すぐさまわかることも、昨今の身寄りが少ないご家族の場合には、時たま来てもなかなか気づかない。
高齢者施設は個室がほとんどであるが、その個室もセキュリティもあってなきが如しで、不正を行おうとすれば誰でもできてしまう危うさがある。
それ故に、施設での金銭管理や通帳預り等は極力避けるべきである。
個人の財産権は憲法上保証された権利であり、他者から不当に侵害されるものではありません。介護という現場では、本人の意思がないがしろにされやすい環境にあり、施設と個人は利益相反の関係にあるため、金銭管理規程が入居契約の中に内包されてしまうというような事態は慎むべきだと思います。最低でも入居契約とは別に金銭管理の委任契約を締結すべきですし、金銭管理規程を詳細につめておく必要があります。
勤務先老人ホームで通帳とカードを盗んだ疑い 入所男性から、介護士の60歳女を逮捕 神戸
神戸新聞NEXT 2024/1/24
介護付き有料老人ホームで入所男性から通帳などを盗んだとして、神戸西署は24日、窃盗の疑いで、神戸市垂水区名谷町の介護士の女(60)を逮捕した。容疑を認めているという。介護職の窃盗 後絶たず、「経済的虐待」…認知症「事前に後見人を」、発覚は「氷山の一角」
逮捕容疑は2017年8月~22年12月ごろ、神戸市西区にある勤務先の老人ホームで、80代の男性から預金通帳1通とキャッシュカード1枚を窃取した疑い。神戸西署によると、女と男性は面識があったという。男性が亡くなった後、通帳などがないことに家族が気付き、23年3月に被害届を出していた。
読売新聞2022/02/28
介護職員が高齢者の金銭や財産を盗んだり、不正使用したりする「経済的虐待」が後を絶たない。厚生労働省によると、2020年度は全国で59人が被害に遭ったと認定されたが、「氷山の一角」とみられる。老人施設に入居している認知症の高齢者が被害に遭うケースが目立っており、専門家は 任意後見制度 の利用も選択肢の一つとしている。